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二極化する首都圏マンション 高額物件は好調も…世田谷・杉並エリアは苦戦

SankeiBiz 9月21日(水)8時15分配信

 都心部は堅調だが郊外は苦戦。そんな二元論でくくられていた首都圏マンション市場に変化が表れ始めた。東京都港区などの富裕層をターゲットとした高額物件は好調を持続しているのに対し、世田谷や杉並といった人気エリアで苦戦を強いられるケースが出てきたからだ。郊外でも、周辺の環境整備により「住みやすい街」としてニーズが高まるケースもある。

 ここ数年の首都圏マンション市場の主役は、希少性が高い土地に建つ高額物件だ。全35戸の販売価格が2億円を超え、最大で10億円超の住戸もある「プラウド六本木」(東京都港区)。これまでに22戸で契約が決まった。一般住戸の顧客の平均年収は5000万円。野村不動産ホールディングスの山本成幸執行役員は「3億円までの物件はスピード感をもって売れている」と話す。

 目の前に赤坂御用地の緑が広がる住友不動産の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」(新宿区)。最も高価な住戸の3.3平方メートル当たりの単価は1000万円を超えるが、139戸の販売戸数に対して4500件の問い合わせがあった。

 しかし、東京都区部では変調が鮮明になっている。不動産経済研究所によると、首都圏全体の8月の発売戸数に占める東京都区部の比率は31.7%。リーマン・ショックの直後である2008年10月(28.7%)以来の低水準となった。世田谷区での物件事情について、大手不動産会社の担当者は「駅に近い好立地条件の物件は3.3平方メートル当たりの単価が400万円でも売れ行きは好調。これに対し、徒歩20分圏にありながら本来の実力を大幅に上回る300万円以上に設定したような物件は、急速に売りにくくなっている」と指摘する。

 都心郊外でも潮目が変わりつつある。京阪電鉄不動産や長谷工コーポレーションが売り主となる「ファインシティ東松戸モール&レジデンス」(千葉県松戸市、382戸)の販売センターには、休日ともなると多くの購入希望者が訪れる。

 松戸市は子育てしやすい環境の自治体として知られる。東松戸駅から徒歩2分で最多価格帯は3400万円台と購入しやすく、商業施設との一体開発が行われたことなどもあり、若いファミリー層の間で人気が高い。

 首都圏のマンション市場をめぐっては、高付加価値マンションが人気の都心部に対し、郊外の物件は建築費の高騰もあって「いかに安く提供できるか」という側面が強かった。しかし、20年東京五輪関連の受注活動が一段落すれば、建築費が落ち着くとの見方が強まっており、「(建築費がさらに下がれば)個性的で顧客を引きつけるプロジェクトが増え、郊外型の人気が再び高まる」(不動産ジャーナリスト)とみられる。

 実際に恩恵を受けるのは交通の利便性が良い物件などに限られるものの、今後は郊外のマンションへの回帰現象が注目されそうだ。(伊藤俊祐)

最終更新:9月21日(水)8時15分

SankeiBiz