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<マンション傾斜>建て替え「コミュニティー破壊」憤る住民

毎日新聞 9月20日(火)9時44分配信

 コミュニティーが破壊された--。19日に開かれたマンション管理組合の区分所有者の集会で、4棟(705戸)すべての建て替えが正式に決まった横浜市都筑区のマンション傾斜問題。2年をかけてようやく一つの区切りを迎えたが、記者会見した管理組合メンバーからは、月日がたっても消えない憤りや新たな生活への不安の声が聞かれた。【水戸健一】

 管理組合によると、この日の集会では建て替え反対は2戸だけで、区分所有法に基づく「全体の5分の4の支持」が集まり、建て替えの要件を満たした。2017年4月に着工し、20年11月に完成する見通しだ。

 問題の発端は14年9月、住民が棟と棟をつなぐ手すりにズレを発見したことだった。管理組合が販売主の三井不動産レジデンシャルに相談。当初「東日本大震災の影響」とされた。ところが、管理組合の再三の要請による調査で、15年10月に地盤の強固な支持層に対して6本の杭(くい)が届いておらず、2本の杭が打ち込み不足だったことが判明。問題が全国に波及した。

 管理組合や市によると、転居した小中学生の通学は市が臨時の通学バスを運行するなどしてサポート。300億円超の建て替えの費用は、三井不動産レジデンシャルが一時的に全額を負担し、施工主の三井住友建設と杭打ちを担当した旭化成建材に支払いを求める方針という。

 集会後には、管理組合のメンバーが記者会見した。ある男性は「同じような犠牲者を出さないため、説明責任を果たすべきだ」と強調した。恒例だった夏祭りもなくなったといい、「長年をかけて築いてきたコミュニティーが破壊された」と憤りを隠さなかった。

 別の男性は、今年7月に区内の仮住まいに転居した。小学2年の娘がいるといい、「マンションは子どもの遊び場が広かったが、それがなくなって娘は親しい友だちと遊ぶ機会が減ってしまった。週末は寂しそうに過ごしている」と話した。中には、校区外に引っ越した後、転居先で友だちができない子どもいるといい、男性は「娘は時々、遊びに行っている」と明かした。

 問題を巡っては、国土交通省が今年1月、1次下請けの日立ハイテクノロジーズを含め工事に関係した4社に業務改善命令などを出した。また、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設は市に「傾斜と杭が届いていないことに因果関係がある」という報告書を提出。旭化成建材は9月末までに市に報告書を出すことになっている。

 三井不動産レジデンシャルは集会後、「今後も誠心誠意、対応したい」、三井住友建設は「引き続き、住民の安心、安全のため、真摯(しんし)に対応したい」、旭化成建材は「多大な迷惑をかけて心からおわびしたい」などとコメントを出した。

最終更新:9月20日(火)9時44分

毎日新聞