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カステラ老舗、伝統守り時代に合わせ進化 松翁軒・山口喜三社長

SankeiBiz 9月21日(水)8時15分配信

 創業330年の老舗カステラ店の松翁軒。創業以来、職人一人一人が手作業でカステラを焼き上げる製法をかたくなに守り続けている。同時に、時代の変化に対応するため、カステラのサイズを見直したり、チョコレート味や抹茶味といった新しい味にもチャレンジしてきた。「カステラは進化の歴史だ」と言い切る11代目当主の山口喜三社長に今後の事業戦略などを聞いた。

 --手作業にこだわる

 「カステラの材料は卵と小麦粉、砂糖、水あめの4つとシンプルだ。しかし、気温や湿度、風といった変化でカステラの味は大きく左右される。その日に合わせて生地の温度や水分量といった材料の加減や焼き上げる際の火加減などを調整しなければならない。このため、機械に任せっきりというわけにはいかない。店舗展開も九州地区に限定しているのも味やサービスの質を保つためだ」

 --伝統を守る一方で、進化もしている

 「数十年前、最も売れ行きのよいカステラのサイズは幅10センチ、長さ27センチのものだった。しかし、核家族化が進み大きいサイズのカステラは売れなくなった。現在、最も売れるサイズは幅6センチ、長さ13.5センチと従来と比べると半分になった」

 --進化はサイズにとどまらない

 「卵の黄身と砂糖を増量する一方で、小麦粉の量を少なくすることでしっとり感を追求した『五三焼カステラ』を2007年に発売した。受注生産で1本の価格が2916円(税込)と高価でありながら販売は好調だ。焼き上げが難しい五三焼は当社だからできる商品だ」

 --熊本地震の影響は

 「観光客の減少で5~7月期の売り上げが前年同期比約30%減と激減した。ただ、訪日外国人客がここ数年、伸びている。このため、中国語や韓国語などで書かれたパンフレットなども用意した。観光需要に依存しすぎてはいけないが、多くの人が長崎に遊びにきてくれるよう長崎の魅力を発信していきたい」

 --今後取り組む施策は

 「一つは職人の技術伝承だ。職人の高齢化は進んでおり、若手への技術伝承は喫緊の課題だ。商品面では缶詰のカステラを復刻することだ。当社ではかつて缶詰のカステラを生産し、オーストラリアに輸出していた。日持ちするので、地震や台風といった有事の際にも役立つはずだ。時期は未定だが、早期に実現したい」

最終更新:9月21日(水)8時15分

SankeiBiz