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テレビのHDR進化、ハイレゾ&ワイヤレス、VR。「IFA 2016」で見たトレンド

Impress Watch 9月20日(火)8時0分配信

 ドイツ・ベルリンで9月2日~9月7日(現地時間)に開催された国際コンシューマエレクトロニクス展「IFA 2016」。出展者数は1,600で、6日間に24万人が来場した。会場での記者発表やブース取材などを通じて、現地で注目されたAV製品やトピックなどを、これまでの記事を振り返りつつまとめた。

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■パナソニックの新たな有機ELに注目

 テレビ関連で最も注目された記事は、パナソニックが発表した有機ELテレビのプロトタイプ。欧州で'15年に発売された「CZ950シリーズ」から数えて第3世代相当に進化(第2世代はCES 2016で展示)。

 これまで課題とされてきた、完全な黒とその周辺の階調/色再現性の向上を図ったのが特徴で、ピーク輝度も従来の同社有機ELから倍近くまで向上し、「よりHDRコンテンツの良さを引き出せる」とのこと。暗室で有機ELマスターモニターと比較展示していたことも、画質の仕上がりへの自信の表れといえるだろう。

 展示されたモデルの製品化や発売の時期は明言されていないが、同社は1月時点では「'16年度中に有機ELテレビ日本市場投入」としており、今後の動向に注目したい。

 同じ有機EL陣営としては、日本を含めグローバルで先行して展開しているLGエレクトロニクスが、最高峰ブランド「LG SIGNATURE」の有機ELテレビを展示。CESでの発表に続き、欧州では初披露となった。ディスプレイの薄さ(CES発表時は2.57mm)や、HDR 10/Dolby Vision対応、低背スタンドにスピーカーを内蔵する点などが特徴で、同じLG SIGNATUREの冷蔵庫や洗濯機、加湿空気清浄機とともにデザイン性の高さをアピールしている。

 一方、液晶テレビはソニーがバックライトマスタードライブ(Backlight Master Drive:BMD)搭載の「BRAVIA Z9D」を発表。SDR映像をアップコンバートするHDRリマスターや、色のグラデーションをより滑らかにするSuper Bit Mapping 4K HDR、従来比約1.4倍のリアルタイム画像処理を実現したX1 Extremeなど、既に進化を重ねてきた液晶を、さらにもう1段階押し上げるような底力を見せつける形となった。

 また、量子ドット(Quantum Dot)採用の液晶テレビを「SUHD」として展開するSamsungは、同方式で世界最大という88型「KS9800」など19モデルを発表。HDR 10対応などの画質に加え、安定性や耐久性の高さもアピールしており、'16年モデルは画面の焼き付きに対して10年間の保証を付けるという。テレビ以外にゲーム用ディスプレイにも量子ドット対応モデルを展開していくという。

 テレビのカテゴリーについては、昨年のIFAでも「HDR」が新しいキーワードとして注目され始めたが、その後、Netflixや(海外の)Amazon Prime Videoなどコンテンツ側もHDR対応を進めていく中で、テレビメーカーは、単に“HDR対応”という段階を超え、よりHDRのメリットを活かせる技術を実際の製品に落とし込んできたのが今年の傾向と言えそうだ。

 また、4Kテレビに合わせてUHD Blu-rayについても、既に製品を発売したSamsungやパナソニックに続いて、ついにソニーもプレーヤーの試作機を披露。'16年度内にUHD BDプレーヤーの発売を予告しており、米国ではハイエンドの「ES」型番を冠して'17年春に発売することを発表。IFAの場でも「ソニー最高の画質/音質で製品化する」とコメントしており、期待が高まる。

■オーディオはポータブルに注目。据え置きはワイヤレス化が加速

 オーディオで開幕前から話題となったのは、ソニー「Signature Series」。同社のアナログ/デジタル高音質化技術を、ヘッドフォンで聴くオーディオに投入したウォークマン「NW-WM1Z」、「NW-WM1A」、ヘッドフォンアンプ「TA-ZH1ES」、ヘッドフォン「MDR-Z1R」。開幕前に行なったプレスカンファレンスでも、平井一夫社長兼CEOがこれらの“ヘッドフォンオーディオ機器”最初に紹介。ブース内でも多くの来場者がヘッドフォンで試聴する姿が見られた。

 オンキヨー&パイオニアのブースでも、ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの新たなモデルが参考展示。第1弾モデルが披露されたのも昨年のIFAだったが、今年はバランス対応モデルの拡充や、Androidではない小型モデル、カメラやSIMカードスロットのようなものを備えた“スマホ風”のモデルなど、様々なバリエーションの登場を期待させる内容。国内でも、早速DP-X1の後継機「XDP-X1A」や、バランス対応に進化した「XDP-300R」が発表されている。

 据え置き型のオーディオについては、欧州市場の特色の一つといえるのが“ワイヤレス化の加速”。以前からトレンドとして表れていたが、ネットワークオーディオプレーヤーやワイヤレススピーカーなどを見ると、多くの製品に「AirPlay」と「Google Cast for Audio」対応を示すロゴが添付され、既にデファクトとなっているようだ。

 加えて、独自のワイヤレス連携機能である「SongPal Link」(ソニー)や「AllPlay」(パナソニックなど)、「MusicCast」(ヤマハ)、「FireConnect」(オンキヨー&パイオニアなど)で複数の製品が連携し、専用スマートフォンアプリで操作するというスタイルを訴求。出展メーカーから聞かれた「欧州は日本に比べて、ワイヤレスオーディオへの抵抗(音質など)の無い人が多い」という傾向も、そうした動きを後押ししているのだろう。

■360度カメラの4Kモデルなど。スタートアップにも注目

 VR関連では、SamsungのブースではGear VRを装着してアトラクションのようなコーナーに、多くの来場者が順番待ちをする姿が見られた。また、日本でも発売された「Galaxy Gear 360」や、Mobile World Congressで発表された「LG 360」など、スマホ画面でモニターしながら簡単に360度撮影ができるカメラが人気。

 スマホに装着できる360度カメラを展開しているInsta360(Shenzhen Arashi Vision)からは、プロ向けの本格モデルとして「Insta 360 4K」も登場。4,096×2,048ドットの高解像度で360度動画/静止画が撮影できるのが特徴で、欧州では600ユーロで販売している。

 また、映像に合わせた“音声の360度化”については、ヘッドフォンやマイクで知られる独ゼンハイザーが、3Dイマーシブ(没入型)オーディオ「AMBEO」向けのマイクを展示。コンテンツ制作環境の充実も進んでいくことが予測される。

 前述したInsta360のように、IFAでも年々存在感を増しているのがベンチャー/スタートアップ企業。日本のCerevoは今年も出展し、1日に発表したアクションカメラ「REC-1」や、サイクリング向けのセンサー「RIDE-1」、プロジェクタ内蔵のホームロボット「Tipron」などを展示していた。

 ベンチャーに限らず、大手企業がユニークな技術を、製品化やサービス化の前段階から公開するという展示にも、多くの来場者が注目。ソニーが“未来のライフスタイルをユーザーと共創する”という「Future Lab Program」では、テーブルや物体に触れることで、映像を操作できる「T」が初披露され、デモも人気だった。

 また、ロボット型のXperia Agentのように、製品として発売は決まっていないにも関わらず、既に他社とのコラボが決まり、共同で展示を行なうという体験型のコーナーも用意。イベントを通じて、新たなビジネスとしての可能性を探っていく取り組みが、大手/ベンチャーを問わず進められているようだ。

 来年の「IFA 2017」は、2017年9月1日~6日に開催される。

AV Watch,中林暁

最終更新:9月20日(火)8時0分

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