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【9月FOMC】利上げか? 見送りか? 市場関係者の見通しにも温度差

ZUU online 9/20(火) 18:10配信

市場関係者の注目を集めるFOMC(米連邦公開市場委員会)が間もなく開催される。利上げの可能性を巡ってはFOMC内部はもちろんのこと、市場でも意見が分かれており、見通しは不透明だ。その結果次第ではマーケットに大きな影響を与える可能性も否定できない。対立軸を整理した上で、今後の動向を占ってみよう。

■利上げの有無を巡る見方は分かれたまま

9月のFOMCでの利上げの是非をめぐっては、FOMC内部でも意見が分かれており、その影響もあって民間の有識者の見通しも温度差が大きくなっている。

債券王として知られるビル・グロス氏は、予想を下回った8月の米雇用統計を受けても「9月のFOMCでの利上げはほぼ100%」とし、従来からの利上げ見通しのスタンスを崩していない。

一方、世界最大級の債券運用会社であるパシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO、ピムコ)は「9月の可能性は非常に低い」とみている。

債券に強気とされているモルガン・スタンレーはジャクソンホールでFRB(米連邦準備理事会)関係者からタカ派的な発言が相次いだ後も「9月の利上げはない」としており、8月の雇用統計を受けてもその姿勢に変化は見られない。

ゴールドマン・サックスは目まぐるしく見通しを変えている。ジャクソンホールでのイエレン議長の発言を受けて、8月下旬に9月のFOMCでの利上げ確率を30%から40%に引き上げた後、2日には8月の雇用統計の数字は利上げを後押しするとして55%までさらに引き上げた。しかし、その後の経済指標が冴えない数字となったことから、7日には再び40%へ引き下げている。

こうした温度差からも、市場の気迷いムードを読み取ることができるだろう。

■「完全雇用に近い」ことが利上げを正当化

タカ派とハト派で議論がかみ合わないのは、そもそもの視点が違うからだ。

タカ派は完全雇用がほぼ達成されており、近い将来インフレ率も上昇することが予想されるのだから、利上げ準備は整っていると主張する。

要するに、FRBの2つの責務である「雇用の最大化と物価の安定」が果たされていることから、金融政策は正常化すべきであるとするやや規範的な考え方を背景としている。

■低成長から脱却が確認できない限り、利上げは困難

一方、ハト派は景気そのものの弱さを問題視しており、雇用の最大化が達成されているかどうかに焦点を当てていない。

失業率が低下し、雇用者数が何人増えようとも、経済成長が鈍化しているのだから、早急な利上げは低成長を長引かせるリスクが高いと考えている。FRBの責務からはやや距離を置き、包括的な実体経済の動きをより重視している。

ハト派の懸念は成長の「鈍化」に集約される。
FRBが公表している経済見通しを見ると、今年6月現在の長期的な成長見通しは「1.8%から2.0%」となっているが、5年前の2011年6月時点では「2.5%から2.8%」だった。

長期的な成長見通しはほぼ潜在成長率と言い換えることができ、過去の成長見通しを振り返ると米国の潜在成長率が低下し続けていることが分かる。米国では今年の第2四半期まで3四半期連続で労働生産性が低下していることもあり、成長の鈍化に歯止めがかかっている様子はまだ確認できていない。

低成長からの脱却に確信が持てないことから、ハト派はインフレ率についても着実に2.0%に向かっているのかどうか懐疑的にみており、早急な利上げは低成長・低インフレを長期化させる恐れがあるので反対というわけだ。

■景気後退への備え、運用難や金融相場への懸念も

タカ派が利上げを急ぐ背景には「次の景気後退に対する備えもあるではないか」との指摘もある。

何らかの理由で景気が後退してしまった場合、現在の低金利では金利の下げ余地がほとんどない。もちろん量的緩和に逆戻りすることは可能であるが、欧州や日本の苦境を踏まえると、量的緩和による景気浮揚効果には多くを期待できないだろう。

また、低金利政策が長期化していることで、ファンドの運用利回り低下や金融機関の利ざやの縮小などが副作用として問題化している。

利上げは株安を招く恐れがあるにもかかわらず、ウォール街のファンドマネージャーの中には早期利上げを期待する声も少なくはなく、当局が利上げを急ぐ背景としても指摘される。

緩和的な金融政策によるバブルの発生も懸念されている。ファクトセットが9月9日に公表した見通しでは、S&P500採用企業の企業収益は今年第3四半期まで6四半期連続で減益となる見通しだ。一方、株価収益率は17.0倍と過去5年平均の14.8倍を大きく上回っており、株価も8月まで過去最高値を更新するなど堅調だった。このように業績を反映しているとは言い難い株高は、金融緩和による歪みを示唆している可能性がある。

■利上げが「できない」と判断されると、株・ドルともにマイナス材料

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)によると、9月のFOMCでの利上げ確率は9月14日現在で15%と低く、市場は利上げを織り込んでいない。

しかし、利上げの見送りは2つの点で問題を残すことになりそうだ。

まずは今後の利上げが難しくなる。ウォール街でも「9月はないが12月はありうる」との声はよく聞かれるのだが、経済指標がより厳しくなる可能性が見落とされている。

8月の米雇用者数は予想には届かなかったとは言え15.1万人増加した。さらに過去3カ月の平均は23.2万人の増加である。完全雇用に近づいているとの認識が正しいならば、12月の雇用情勢は現在よりも減速している可能性が高く、9月に見送っておきながら12月に利上げをする正当性が疑問視されかねない。

さらに問題なのが、利上げを「しない」のではなく「できない」のではないか、との見方が広がる恐れがあることだ。利上げ積極派が主張するように、FRBの責務という観点からは利上げが正当化されるにもかかわらず、利上げが見送られた場合には、実は米経済はそれほど堅調ではなく、ハト派が主張するようにぜい弱であることを示唆していると解釈されるかも知れない。

米景気の先行きに対する不安が広がることになれば、株価やドルにはネガティブな材料となるだろう。

FRBは将来想定される景気後退に備えて、金利水準を引き上げたかったが、結果的に十分な利上げをできずに次の景気後退が訪れることにもなりかねない。(NY在住ジャーナリスト スーザン・グリーン)

最終更新:9/20(火) 18:10

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