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大規模トマト農場に土耕研究を盛り込み 埼玉県、事業継続へ計画見直し

産経新聞 9月20日(火)7時55分配信

 県と流通大手イオングループなどによる久喜市での大規模トマト農場計画で、県は従来の水耕栽培ハウスに加え、新たに土耕栽培ハウスを建設する方針を決めた。同計画は3月、県議会側が県内農家への影響を懸念して、同計画の事業予算の執行停止を決議、事業中止の可能性が懸念されている。県は県内農家のほとんどが取り組む土耕栽培の研究強化を計画に盛り込むことで、事業継続を目指す。(川畑仁志)

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 上田清司知事が16日の定例会見で明らかにした。県農林部によると、建設期間は2年間で、23日開会の県議会9月定例会に建設費1億4400万円のうち、今年度分6200万円を盛り込んだ補正予算案を提出。従来の事業費9億8700万円は国庫補助金で、可決されれば同事業に県費が支出されることになる。

 県議会環境農林委員会は3月、栽培したトマトの販売権を持つイオン側が安価で販売した場合、県内農家に影響が出るなどの理由で、事業費支出の執行停止を求める付帯決議を自民、公明の賛成多数で可決。停止解除時期は「県が責任を持って実証・普及を一元的に行う態勢が整ったと認められるまで」としていた。

 平成28年度中に予算を執行できなければ事業自体が中止になる事態に発展し、県は対応を模索。県農林部が県内の中心的なトマト農家16戸への聞き取りや農家300戸へのアンケートで意見を取りまとめた。

 この結果、新技術への期待とともに、イオン側が生産実証データを独占することへの懸念を確認。県内農家のほとんどが取り組む土耕栽培での多収技術の実証を求める声が出たという。

 県が新設する土耕栽培ハウスは6アールで、水耕ハウスと同様にICT(情報通信技術)で室温や湿度、二酸化炭素濃度などを管理。日照面で最先端のLED補光技術も取り入れる。

 県農林部内に「次世代技術実証・普及センター(仮称)」の新設も検討しており、水耕ハウスでトマトを栽培するイオン側のデータも含め、生産実証データを一元的に管理する。

 計画は農林水産省が全国10カ所で進める「次世代施設園芸導入加速化支援事業」の一つ。県農林部幹部は「計画案が選定されるためには施設園芸の先進手法である水耕栽培で提案する必要があった。土耕栽培は検討していなかった」と明かした。

最終更新:9月20日(火)7時55分

産経新聞