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<シリア>人道支援車両に攻撃、12人死亡 停戦崩壊の危機

毎日新聞 9月20日(火)11時49分配信

 【カイロ秋山信一、ニューヨーク國枝すみれ】内戦が続くシリア北部アレッポ県ウレムクブラ近郊で19日、人道支援物資を積んだ国連機関やシリア赤新月社(赤十字に相当)の車列が攻撃を受け、複数の支援要員が死傷した。国連が発表した。戦況の情報を収集する在英民間組織シリア人権観測所によると、犠牲になったのは赤新月社の職員や運転手ら12人。現場は反体制派支配地域で、米政府高官はシリア軍かロシア軍の空爆との見方を強く示した。これに先立ちシリア政府軍は反体制派との一時停戦は「終了した」と発表、戦闘や空爆が各地で続き、停戦は崩壊に直面している。

 オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は19日「車列は(国連の)印がつけられ場所も事前に各方面に伝えていた。意図的に狙ったなら戦争犯罪に等しい」と批判した。5年以上続くシリア内戦では人道支援従事者ら多数が空爆されたが、今回ほど大規模な被害が出るのは極めて異例だ。

 国連によると、支援トラック31台のうち少なくとも18台とシリア赤新月社の倉庫と医療施設が被害を受けた。車列はアレッポの政権側地域から反体制派地域に入り、約7万8000人分の支援物資をウレムクブラ周辺に届ける予定だった。

 一方、現地の反体制活動家らはロイター通信に「空爆後の救助活動中に空爆された」と説明した。同様の手法はシリア軍やロシア軍が空爆時に多用する。

 米政府高官は19日、アサド政権の後ろ盾であるロシアが停戦維持に動かなければ「(停戦)延長や(和平への)取り組み再開はできなくなる」とロシアを批判し早急な対処を求めた。同高官やロシアメディアによると、ケリー米国務長官がラブロフ露外相と20日にも会談する方向で調整が行われている。

 アレッポ県では車列が攻撃を受けた当時、政権側による空爆が激化。人権観測所によると、アレッポ周辺で他にも40回以上の空爆があり、20人が死亡した。首都ダマスカス郊外でも戦闘が続いている。

最終更新:9月20日(火)15時39分

毎日新聞