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【特集】水道水が“墨汁”臭 琵琶湖でなにが…

毎日放送 9月20日(火)16時52分配信

 滋賀県竜王町に住む小川さん一家。今月に入ってからあることに悩まされているといいます。

 「水が飲みたくて水を口に近づけるとかなり刺激臭がして、これは臭いなと。」(小川義和さん41歳)

 水道水が臭い?一体どういうことなのか記者もにおわせてもらうと。なんと水道水から墨汁のような臭いがするのです。2人の子どもがいる小川家では料理はもちろん、麦茶を作ったりするのによく水道水を使いますが、臭いがひどくそのままでは使う気にはなれないといいます。

 「一度火を通してから使います。臭いが抑えられるので」

 そんな小川家でもっとも気になるのは風呂場だといいます。

 「シャワーの水出してるだけですけどちょっと泥臭いですね。これでちょっと湯船に入るのは」(古平健太記者リポート)
 「抵抗があります」(小川義和さん)

 温まってお湯になると気密性の高い浴室内には湯気とともにたちまち異臭が充満するそうです。水道水への憤懣、実は小川さんに限った問題ではないんです。

 滋賀県には先月末から「水道水が臭い」という苦情が900件以上寄せられているのです。県の調査では、水道水から異臭がするのは琵琶湖の東側、近江八幡市と東近江市の一部、そして竜王町と日野町の約19万人が住むエリアに広がっているといいます。「墨汁のような」取材班が実際飲んでみると・・・

 「喉に残りますね」(古平健太記者リポート)

 ちょっと言葉が足りずニュアンスが伝わらなかったかも知れないので・・・水道水の風味をより豊かに表現してもらうため味覚と嗅覚のエキスパート、シニアソムリエの井上さんにテイスティングしてもらいました。

 Q.いかがでしたか
 「口の中に入れた瞬間から、飲み込んだ後に鼻の中を抜けていくフレーバーという表現になるんですがフレーバー部分が凄く青っぽい感じ。これにちょっと土っぽいニュアンスが入りまして苔のような感じ」(シニアソムリエ 井上富雄さん)

 そして、あえてワインに例えてもらうと・・・
 
 「ボルドーの赤ワインのようにタンニンの強いものを飲んだ後に感じる口の中に残る苦味のようなものも若干あります。」
 Q.墨汁と言われていますが
 「いわれてみれば墨汁のようなニュアンスも感じます」

 墨汁のような、土のようなニュアンス。その原因は何なのでしょうか?

 近江八幡市の馬渕浄水場。約19万人に水道水を供給。その水に異臭がしているのです。この浄水場では7月下旬から土やカビのような臭いを検知するようになり、今月5日になって臭いの原因物質が基準値の約2倍を超え、その後もほぼ毎日超えた状態が続いています。処理された水はもちろん健康への影響はないとのことですが。

 「まったくはじめての琵琶湖の水質の状況ですので、うちの施設が高濃度の物質を完全に処理できる設計ではないので苦慮している」(滋賀県企業庁 谷口貢浄水課長)

 臭いの原因はどこから来ているのか?馬渕浄水場が水を取り込んでいるのは琵琶湖沖。県が調査をすると近くの川で異変が起きていることがわかりました。ここは取水口の近くの琵琶湖にそそぐ長命寺川。上から見てみると川の水が濁っていて、水面には緑の帯状のものが漂っています。

 「緑の粒状のものが大量に確認でいます」(古平健太記者リポート)

 緑色の繊維状のものが大量に混じっています。県が分析をしたところ、大量に繁殖しているのはある微生物だと判明しました。それは・・・『オシラトリア』植物プランクトンの一種とのこと。一体どんなプランクトンなのでしょうか。

 「1CCに1本入っていてもカビ臭がすると言われる。カビ臭を出す種類としては強い種類」(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬諭工学博士)

 強い異臭を放つという「オシラトリア」臭いを嗅いでみると・・・

 「墨汁の匂いがしますね」(米澤飛鳥記者リポート)

 墨汁のような、土っぽい臭い、まさしく小川さんの家の水道水と同じ臭いでした。このオシラトリアが臭いのもとだとみられています。では、なぜ大量発生したのか?

 「オシラトリアは高い水温がすきで、高水温で25度以上という水温だと増えやすい。栄養分が高い所が好きなので少し汚れた所が好き。雨が少ないと水質も悪くなってくる」(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬諭工学博士)

 それは今年の夏の気象と関係がありました。雨が少ないことで琵琶湖の水位が下がったうえ、猛暑で水温が高い状態が続いたことがオシラトリア大量繁殖の要因だと見られています。浄水場では臭いを取り除くため活性炭を24時間投入していますが、完全に取り去ることはできていません。

 墨汁の臭いのする水道水。解決への道は琵琶湖の水位が上がって水温が下がること、今後の天候にかかっています。

毎日放送

最終更新:9月20日(火)17時42分

毎日放送

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