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パラリンピック、史上初「金」ゼロの衝撃…個人頼みに限界、育成戦略の欠如、態勢見直し急務

産経新聞 9月20日(火)7時55分配信

 パラリンピック・リオデジャネイロ大会で日本は史上初の金メダルゼロに終わった。2020年東京大会のホスト国としては「惨敗」と言っていい。目標とした「金10個」との乖離(かいり)からは、日本パラリンピック委員会(JPC)の見通しの甘さに加え、長期的な強化戦略の不備など障害者スポーツが置かれた厳しい現実が見えてくる。JPCは強化計画を見直すことを明らかにした。次の東京大会まで4年。態勢のてこ入れは待ったなしだ。(リオデジャネイロ 佐々木正明)

 日本が今大会で獲得したメダル総数は24個だった。1位中国の239個は別格として、2~4位の英国、ウクライナ、米国も100個以上を取っており、日本は足元にも及ばない。多くの競技で記録ラッシュに沸く中、ほとんどの日本選手はハイレベルな試合展開に対応できなかった。

 2連覇を期待されながら表彰台に届かなかったゴールボール女子のエース、安達阿記子は「この4年間で日本の選手もレベルアップしたが、それ以上に世界のレベルが上がっている。そこに追いつかなければ、厳しい戦いは続く」と漏らした。同じような所感を多くの選手が残していた。

 五輪競技でもパラ競技でも、世界的な選手を育てるには「10年かかる」といわれる。これまでは、世界のトップに立った車いすテニス男子の国枝慎吾のように、日本のパラ競技は「個の力」に頼る構図だった。今大会は、車いすテニスで「国枝頼み」の構図が変わらなかったように、各競技でも若い選手の台頭や世代交代が進んでいないことが露見した。

 背景には、JPCや各競技団体に戦略的な選手の強化育成計画が欠けていることが挙げられる。東京五輪招致が決定した後も、JPC傘下の競技団体の多くは、事務局を個人の自宅に構えるなど組織基盤が弱かった。25以上の競技団体が入居する「サポートセンター」が日本財団の支援で開設されたのは昨年11月だ。

 鳥原光憲JPC会長は17日の総括会見で「具体的な対策を早急に立てて取り組みたい」と述べた。強化戦略を欠いたまま今大会に臨んだことが分かる。ある競技団体の幹部は「リオ大会の苦戦をきっかけに各団体が外部の人材を起用するなど、大胆な改革を行うべきだ」と指摘する。

 パラ競技への国の支援は年々、手厚くなってきているが、五輪競技とはまだ大きな差がある。障害者スポーツの先進国ではプロの専門コーチがおり、国によっては海外からコーチを招聘(しょうへい)している。米国や豪州では、障害者が健常者と一緒の競技大会に参加できる仕組みが整い、障害者アスリートが力試しする機会に恵まれている。

 パラ選手も共用する「第2ナショナルトレーニングセンター」は19年に完成する予定。戦略的な計画、米国や豪州の先進的な取り組みを導入するなどして、ホスト国として恥ずかしくない態勢を整えたい。

最終更新:9月20日(火)8時14分

産経新聞