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AP通信などメディア3社がFBIを提訴 iPhoneロック解除ツールに関する情報開示を要求

ITmedia ニュース 9/20(火) 14:56配信

[AP通信] AP通信などのメディア3社は9月16日、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノ郡で起きた銃乱射事件の捜査において米連邦捜査局(FBI)がiPhoneのロック解除のために誰にいくら支払ったかを明らかにすることを求め、FBIを提訴した。

 メディア3社が求めているのは、事件の容疑者が使用していたiPhoneのロックを解除するためのツールを提供した民間企業との間でFBIが交わした契約に関する記録の開示だ。サイード・リズワン・ファルーク容疑者は2015年12月、妻とともに、同郡の職員が集まっていたクリスマスパーティーの会場を銃撃し、14人を殺害した。

 AP通信はUSA Todayの親会社Gannettと新興メディアVice Mediaとともにこの訴訟を起こし、FBIが民間企業との間で交わした謎めいた取引に関する情報の開示を求めている。米司法省は当初、容疑者が所持していたiPhoneのロック解除に協力するようAppleに強制する裁判所命令を求めて訴訟を起こしていたが、その後、ロックを解除できたとして突如訴えを取り下げている。

 米情報公開法に基づきコロンビア特別区連邦地方裁判所に提出された訴状には、次のように記されている。「FBIがこのロック解除ツールに対していくら支払うのを妥当と考えたかや、取引相手企業の身元と評判を知ることは、国民が政府を有効に監視し、不正を防ぐために不可欠なことだ」

 政府は以前にこの情報の開示要請を却下した際、記録を公表すれば「法執行の手続き」に影響を及ぼしかねないと述べたが、それ以上詳しくは語らなかった。FBI広報担当のクリス・アレン氏は16日、コメントを断っている。

 今回の訴訟は、FBIが今年3月、問題のiPhoneのロックを解除するためのツールを外部から購入したと発表し、Appleに対する訴訟を取り下げたことに端を発する。これを受け、デジタル社会における個人のプライバシーと国家の安全との適切なバランスをめぐる議論が沸き起こった。

 FBIはそれまでの何週間か、容疑者が職場から支給されていたこのiPhoneの内部にはAppleしかアクセスできないと主張していた。このiPhoneは事件の後に容疑者の車から見つかったもので、複数のセキュリティプロトコルを使ってパスコードで保護されていた。司法省の要請を受け、連邦治安判事は今年2月、Appleに対し、FBIが問題のiPhoneにアクセスして証拠を集められるようiPhoneのセキュリティ機能を迂回するためのソフトウェアを開発するよう命じる判決を下した。Appleは、FBIの要求に従えば危険な先例となり、顧客のセキュリティを脅かすことになりかねないと主張し、この裁判所命令を拒否した。

 その後、両陣営は法廷で直接対決することになったが、審理の直前になって、司法省職員が問題のiPhoneのロックを解除するツールを外部業者から手に入れたことを明らかにし、その1週間後、FBIはこのツールを使ってiPhoneにアクセスできたと発表した。訴状によると、メディアはこのiPhoneからは結局、容疑者と海外の過激派グループとのつながりを示す証拠は見つからなかったと報じている。

 FBIのジェームズ・コミー長官が、FBIがロック解除ツールに支払った金額は「自身の残りの任期中の給与を上回る」と述べるなど、FBIはこの取引について幾つかの情報を提供したものの、実際にロック解除のために支払った金額やその方法については公表を拒否している。さらにFBIはAppleへの情報提供も拒否している。Appleは当初、自社製品のセキュリティ機能を回避できるようにすることは自社製品のセキュリティを弱めることになりかねないと懸念を示していた。

 メディア3社は今回の訴訟で、FBIがこうした情報を開示しないことには何ら法的根拠がないと主張し、FBIによる証拠捜査の妥当性に異議を申し立てている。さらに、国民には、FBIが取引した企業が十分なセキュリティ対策を講じているか、政府資金の受け取り手として適切か、公衆の利益のために行動する企業であるかを知る権利があると指摘している。

 AP通信が米情報公開法に基づきオバマ政権を相手取って訴訟を起こすのは、今回が3度目だ。
(日本語翻訳 ITmedia ニュース)
(C) AP通信

最終更新:9/20(火) 14:56

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