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【コラム】余力なく革新が可能なのか=韓国

中央日報日本語版 9月20日(火)17時33分配信

先日、首をかしげる報道があった。「労働時間の短縮が新規雇用率を落とす」という内容だ。週40時間勤務制(週休二日制)が導入された後、労働者1人の1週間の労働時間は43分ほど短縮された。しかし新規雇用率はむしろ2.28%下落したという分析だ。超過労働手当が増え、投入費用が増加した。すると企業が長期的に生産規模を減らすことになり、これに伴って雇用が減るという論理だ。超過労働手当のために生産を減らすというのは納得しがたい。企業が生きる道をあきらめるという話と変わらないからだ。逆に長時間労働をすれば超過労働手当が減るため、企業は生産を増やし、雇用率が上がるということになる。何かおかしい。この分析の根拠は2004-2009年の雇用労働部の雇用形態別労働実態調査だった。2004年は「カード大乱」で経済危機が高まった時だ。国際通貨基金(IMF)が同年、家計負債の深刻性を指摘し、円滑な個人破産制度の導入など解決法を提示するほどだった。2008-2009年はグローバル経済危機で揺れた時だ。雇用率が落ちるしかない環境だ。こうした状況を考えると、なぜ雇用率が落ちたのか理解できる。労働時間とは特に関係なくだ。

労働時間はしだいに短くなるしかない。むしろさらに減らして柔軟に運営するべきだというのが学者らの言葉だ。著名な経営学者トム・ピーターズは「企業の成敗を左右するのは戦略・組織構造・システムではなく人であり、特に『創造性と想像力』だ」と述べた。競争力の源泉が労働や資本という時代は過ぎたということだ。富の源泉は創造的想像力に変わった。経済歴史の峠で一つの国を興して新しい経済覇権を形成したのも革新性に起因する。株式会社の概念を導入したオランダの東インド会社がオランダを強国にし、トウ小平が黒猫白猫論で共産党の論理の代わりに改革・開放を採択して崛起を実現させたのもこうした破壊的革新性だ。

さらに第4次産業革命の時代だ。以前の産業革命は雇用を創出した。第4次産業革命は違う。ダボス会議は消える雇用がもっと多いと予測した。5年以内に710万件が消え、200万件が新たに生じる。「伝統経済が規模の経済によって作動するなら、新経済を導くのはネットワーク効果だ」というカール・シャピロとハル・ヴァリアンの1998年の予想が現実に近づいた。長い歴史があり規模が大きいからといって生存する時代ではない。大宇造船海洋や韓進海運を見てもそうだ。小さいが効率的で経済の流れを変える革新性が重要だ。「強小企業」が多いドイツや米国シリコンバレーのベンチャーのように。

労働時間の柔軟化は雇用市場の革新という考えで接近すべきなのかもしれない。長く働いて疲れた状態(burn-out)では創造的想像力を期待しにくい。残業と特別勤務で労働者を疲れさせるのは組織の後進性を見せるだけだ。サムスン経済研究所は「競争力の源泉はアイデアを考える時間、すなわち余力(slack)を保障するところにある。それが仕事をしやすい会社」という。労働者一人一人の革新性が企業を存続させ、その結果として雇用は増える好循環構造を築くからだ。

そのためには技術の進歩に対する社会的な共感が形成されなければいけない。労働環境はデジタル化されている。生産現場はもちろん雇用市場の構造もそれに基づいて大きく変わり、今後さらに深刻な地殻変動が予告されている。それでも伝統的な生産システム、労使関係、人材運用に固執すれば未来はない。雇用市場を柔軟にしてアイデアに対する財産権を認める措置が伴わなければいけない。そうなれば労働時間は自然に柔軟になる。それを労働改革という名で推進したが、遅々として進まない。労働改革は他でもない雇用市場の革新だ。

創造と革新は人間の領域だ。これに背を向ければロボットと競争し、ロボットを恨むというあきれる事態に直面するかもしれない。いま必要なラダイト(luddite)はロボットを壊すことではなく、チャンスを先に獲得できるよう旧習の枠を壊すことだ。

キム・ギチャン論説委員/雇用労働記者

最終更新:9月20日(火)17時33分

中央日報日本語版

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。