ここから本文です

2020年へ課題も 障害者用ホテル客室不足懸念

産経新聞 9月20日(火)7時55分配信

 4年後の東京五輪・パラリンピックで、障害者が宿泊できるホテルの不足が懸念されている。法律で求めている水準が「50室以上の施設に1室以上」と少ない上、事業者側も設置に後ろ向きなためだ。

 「車いすの団体客が泊まれる施設を探すのは一苦労。4年後は世界中から車いすの人が来る。十分な対応ができるのか」。車いすの利用者でバリアフリーに関する執筆や講演活動を行う木島英登さん(43)は不安を口にする。

 ◆トイレと浴室

 木島さんによると、日本のホテルを車いすで利用する際、大きな障害となっているのはトイレと風呂だという。

 部屋が広い上に、シャワーだけの部屋などがバリアフリー対応になっている米国に比べ、日本のビジネスホテルは湯船とトイレが一体となった施設が多く、車いすで一般の客室を使うことが困難になっているという。

 木島さんは「1日程度なら風呂を我慢し、トイレはロビーの障害者用を利用して一般の部屋に宿泊できるが、連泊となると難しい」と話す。

 平成18年に施行されたバリアフリー法では、50室以上のホテルには必ず1室以上は車いすなどに対応した障害者用客室を設置することが義務づけられている。ただ、同法では1千室以上の大型ホテルでも1室あれば基準を満たすことになり、障害者用客室が増えない一因となっている。

 国土交通省は同法とは別に省令で、客室が200室以下のホテルは2%、200室を超えるホテルは1%に加え2部屋を、障害者用客室にすることを求めているが、強制力はない。補助金制度も設けているが、18年の省令施行から26年度までに、東京都で認定を受けたホテルは11件にとどまっている。

 ◆コストが負担

 事業者にとっても、バリアフリー化を積極的に進められない事情がある。

 「高額な改修コストが負担になっている」と話すのは全日本シティホテル連盟の粉川(こがわ)季雄専務理事だ。入り口や通路、風呂などを広く造る必要があるため、ビジネスホテルなどでは障害者用の部屋を造る際、現状では2つの客室を1つに造り替えている。「2部屋分の料金はとれない。経営効率の点でも多くのホテルが頭を悩ませている」

 国や都の現状把握も進んでいない。都によると都内には27年3月31日時点で10室以上の客室を持つホテルは675施設(9万8644室)ある。しかし、障害者対応の客室数は「把握していない」(都担当者)。危機感を持った国交省は今月9日、専門家や障害者団体らによる検討会を設置。既存のホテルを活用しながら、障害者用客室を増やしていく検討を始めた。

 東北福祉大教授で日本身体障害者団体連合会の阿部一彦会長(64)は「高齢化社会という観点でも、ユニバーサルデザインの客室が増えることは望ましい。利用者の声が反映される仕組みづくりも必要だ」と話している。

最終更新:9月20日(火)8時16分

産経新聞

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。