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【ズームアップ】ジャパンカップ騎乗がリサ・オールプレスの夢

サンケイスポーツ 9月20日(火)13時19分配信

 今週の「ズームアップ」は、短期免許でニュージーランドから来日中のリサ・オールプレス騎手(41)を取り上げる。女性であり母でもある彼女が、母国でリーディングジョッキーとして男性と対等以上に渡り合う秘訣(ひけつ)とは何か。そして日本での騎乗にこだわる理由とは? エネルギッシュなその姿に迫った。 (企画構成・柴田章利)

 身長1メートル48の小柄な体のどこに、これだけのパワーが隠されているのか。馬を追うだけではない。リサ・オールプレスは、男性と競う騎手、2人の子供を育てる母の側面を持ち、さらに異国の地でも戦うという並々ならぬバイタリティーにあふれている。

 「ジョッキーに男性も女性もありません。全ての馬でひとつでも上の着順に持ってくる。そうして信頼を得ていくだけです。騎乗を依頼してくれるオーナーも調教師も、私の騎乗ぶりを分かっているから、その期待に応えたいと思っています」

 五輪でも男女が同じフィールドで対等に戦うのは馬術競技だけ。走るのは馬である以上、騎手の性別は問題視されない。実際には男女間に体力や筋力の差があるのは当然だが、リサは「毎日、ランニングやジムに通ってコンディションを整えます。でも、それってプロとして当然でしょ? 腕力で劣る人もいるけど、世界トップクラスの女性ジョッキーは男性と体力的に遜色ないと思うわ」と、事もなげに答える。

 体力面よりも母としての側面が障壁になるのか。そこは家族のサポートが重要だという。

 「夫や夫の家族など、みんなが私がジョッキーを続けるために支えてくれています。食事や子供の送り迎え。本当に感謝しています」

 その一方で、世界では子供がいる騎手のためにベビーシッターがいたりすることを挙げ、「日本ではまだそういう面は遅れていると言わざるをえない」とも指摘した。

 ワーキングホリデーを利用し、日本の牧場で勤務したのが1994年。同年のジャパンC(勝ち馬マーベラスクラウン)を見たことが、騎手を志すきっかけになった。「いつかはその舞台に立ってみたい。それが騎手人生の夢というか希望です」。昨年の再来日で、日本の馬やレース、全てのクオリティーが高いことを再認識した。いつかはJCに-。その思いが大きなモチベーションとなっているが、JRAの短期免許取得の条件は来年以降、厳しくなる。次回も短期免許を取得するには、2016~17年シーズンでリーディングを取るしかない。

 「それでも私は日本で乗りたい。もう一度、日本に戻ってくるために1年間頑張っているのよ」

 性別も国も乗り越えて日本にこだわるリサ。小さな体をフルに使ったパワフルなスタイルを、しっかりと堪能したい。

 ◆JRA通算2943勝を挙げた岡部幸雄氏(67) 「あれほどの経験と実績があるジョッキー。日本での乗り方もすぐに対応してきたし、やはりプロフェッショナルですね。騎乗ぶりに隙がない。女性は体力的に劣る、なんていわれるけど、そんなことはないですよ。海外は小さい頃から馬に乗っている人が多いし、日本より底辺が広い。ジョッキーライセンスを持っている人はたくさんいるけど、実際にレースで騎乗できるのはわずかで、さらに活躍できるなんてひと握りだけ。リサは技術的にもトップクラスですよ」

★短期騎手免許取得の条件

 JRAは2017年から外国の騎手に与える短期騎手免許の取得条件を変更する。従来は北米リーディング30位、英仏10位以内だったが、変更後は北米&英仏は5位以内、豪州は3位以内、ドイツやニュージーランドでは1位が条件。それ以外でも凱旋門賞やブリーダーズCなどの指定外国競走(54レース)を通算2勝以上していれば、前記の成績を挙げていなくても取得可能になる。

★菜七子との対戦楽しみ

 ルーキー藤田菜七子騎手(19)=美・根本=が目標の騎手に挙げているリサ。昨年も対面した2人は、菜七子が騎手となって再会した。まだ同じレースでの騎乗はないが、リサは「インターネットなどで菜七子のレースは確認していた。成功してもらいたいし、同じレースで騎乗するのを楽しみにしているわ」と対戦を待ちわびている。また、名古屋競馬の宮下瞳騎手(39)が2児の母となって復帰を果たしたニュースにも「それは素晴らしい!」と喜んだ。日本人女性騎手のあこがれであるリサは、後に続く2人の存在を温かく見守っている。

■リサ・オールプレス(Lisa Allpress)

 1975年5月20日生まれ、41歳。ニュージーランド出身。旧姓マンビー。96年に騎手免許を取得し、2002年に短期免許で来日。その後、カール・オールプレス調教師と結婚。10年にキャプテンクックSをウィーキャンセイイットナウで制してGI初勝利を挙げる。11/12年シーズンに159勝を挙げてNZリーディングを獲得。豪州、マカオ、シンガポール、マレーシアでも騎乗歴がある。母国での通算成績は1万1286戦1257勝。JRAでは205戦10勝。家族は夫と2男(12歳と9歳)。

最終更新:9月20日(火)13時23分

サンケイスポーツ

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