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それでも途上国はドル建て債務を積み上げる。理由は何か?

投信1 9月20日(火)20時35分配信

途上国のジレンマ

20世紀には数々の途上国で経済・金融危機が起こりました。最近では、1997年のアジア危機、2000年代初頭の中南米危機において、比較的大きめの不況が一気に金融危機になってしまったケースもあります。

その大きな2つの理由として、次のような点が挙げられます。

 ・外国から期間の短い借り入れを行っていたため、外国人投資家が一斉に引き上げるだけで資金源が急激になくなってしまったこと
 ・外国からドル建てで借り入れを行っていたため、自国通貨が下落するとドル建ての債務は膨れ上がり、返済不能になる企業が続出したこと
前者は、上記の金融危機の教訓として世界中の新興国で改善がなされています。しかし後者は、今現在でも世界の多くの途上国が、ドル建ての対外借り入れを減らすどころか増加させています。

なぜ、途上国は危険と分かっていてもドル建ての債務を増やしてしまうのでしょう。

決して途上国の方が為替リスクに疎いというのではなく、そこにリスクがあると分かっていてもドル建てで借りざるを得ないジレンマがあります。

筆者はクラウドクレジットの活動を行う中で、たとえば米国の聡明な起業家ですら、途上国でフィンテックの活動を行う際にこのジレンマにはまってしまっている事例を見かけたことがあります。

インフレ率、政策金利が低い途上国ではドル債務は減少傾向

まず、インフレが安定している国ではこのジレンマは生じません。

クラウドクレジットが活動を行っているペルーという国はインフレが安定しており、経済が発展するとともに国内のドル経済は現在進行形で急速に縮小しています。

2013年のバーナンキショックから数年にわたって続いている新興国不安では、ペルーでは自国通貨への信認が厚いこともあり、金融活動全般の活発さは保ったままドル経済のみ急速に縮小させるなど、柔軟な対応を取ることができていました。

政策金利と連動しない途上国の貸付金利

しかし高インフレ、高政策金利の国では、ドル建てで借り入れなければどうにもならないというジレンマが発生します。その理由の元は、金融機関の貸付金利と借入金利のミスマッチです。

途上国において金融機関の貸付金利は、政策金利と連動しません。

上の図の青線はペルーの金融機関の現地通貨建てでの平均貸付金利の推移です。この期間中にペルーの政策金利は下の図の通り1ケタ%のところで上がったり下がったりしていますが、20%前後くらいでほとんど変わっていません。

途上国における市中の貸付金利は資金需要者である事業者の利益率に左右されます。言い換えれば、途上国では中央銀行の政策金利が数%上がったり下がったりしても事業者の利益率は変わらず、よって金融機関の貸付金利もほとんど政策金利の水準の変化の影響を受けません。

一方、下の図はペルーの金融機関の借入金利です。

青線で示される現地通貨建ての借入金利も、赤線のドル建ての借入金利も、それぞれ現地中央銀行と米国FRBの政策金利と非常にきれいに連動しています。

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最終更新:9月20日(火)20時35分

投信1