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「苦難の行軍」とは何だったのか? ある脱北知識人が経験した飢饉の正体(6) 浮浪児になっていた大学同僚の娘 パク・ヨン

アジアプレス・ネットワーク 9月20日(火)15時6分配信 (有料記事)

承前)1995年晩秋、大学教員の筆者は、職場から給料と配給の支給が途絶えて万策尽き、何か食べられるものを得られるかも知れぬと考え川辺や街中をさまよい歩いた。そこで遭遇したのは、コチェビになった同僚の幼い娘だった。

思わず、自分の<境遇>を忘れてしまった私は、その女の子と一緒に同僚の家へ向かった。彼女によると、母親は商売に出たまま家に戻らず、すでに半月が過ぎたという。

同僚の家に着いた。家財という家財をすべて売り払った家は、鍵も掛かっておらずガランとしていた。お父さんはどこに行ったの? と少女に訊いた。
「市場でコチェビをしています」
と同僚の娘は答えた。

まだ10才にしかならない幼い娘を、自力で生きよとばかりにほったらかして、自分だけが生き抜くことに専念している同僚夫婦に、私は怒りを禁じえなかった。だが実は、私にも生きていく術がないのである。

私は、自分の家族をすべて他人に押し付けた無能・低能な者に過ぎなかった。私自身、すでに三食続けて食べていない状況にあった。だが、どうしようもないからと、この少女をそのまま置いて行けるだろうか。

私には家すらないのだが、靴や服を持っている大人として、裸足の彼女に履物の一つでも買ってあげられないままでは、とうてい別れることはできそうになかった。<良心>というものは、そのように執拗なのだ...本文:2,930文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

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最終更新:9月20日(火)15時6分

アジアプレス・ネットワーク