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最強磁石“ネオジム磁石”、30年以上首位に君臨 ポストネオジム最有力は?

日刊工業新聞電子版 9月20日(火)11時40分配信

最強磁石、後継者を探せ

 ネオジム磁石は史上最強の永久磁石だ。NDFEB(京都市西京区)の佐川眞人社長が1982年に発明して以来、30年以上首位の座を守る。モーターの効率を飛躍的に高め、電気自動車(EV)やロボットなどの実用化につながった。特に車載モーター用の高性能磁石は日本企業が独占してきた。だが基本特許が切れており、“ポストネオジム磁石”の開発が喫緊の課題となる。 (小寺貴之)

 現在、世界の電気エネルギーの55%はモーターが消費している。モーターの性能は磁石に依存しており、磁力が向上するとモーターの出力向上や小型化、高効率化につながる。磁石は地球規模のエネルギー問題に貢献する研究テーマといえる。

 希土類磁石は機械装置の駆動系を一変した。東京工業大学の鈴森康一教授は「80年以前のロボットはすべて油圧駆動。希土類磁石の登場でモーター駆動に置き換わった」と振り返る。ネオジム磁石はHDDの読み出し装置など情報化の波を支え、EVやハイブリッド車(HV)を実現し、温暖化対策にも寄与した。

この発明のきっかけは78年にまでさかのぼる。当時、佐川社長は富士通研究所で特殊スイッチの開発を担当し、サマリウムコバルト(SmCo)磁石の研究を任されていた。ある希土類磁石のシンポジウムで、希土類と鉄の組み合わせがなぜ磁石にならないか、簡単な考察が紹介された。内容は鉄原子の距離が近すぎて磁性が不安定になるという解釈だ。

 佐川社長は「ならば原子間距離を広げれば良い。炭素やホウ素を添加してみよう」と発想した。このアイデアが大当たりした。

年間生産量10万トンに迫る

 鉄は資源量が豊富で原価を抑えられるため、希土類鉄系磁石の研究は熱心に取り組まれた。SmCo磁石のコバルトを鉄で置き換える実験が繰り返されたが、鉄の割合を増やすと磁力が急減した。佐川社長は「当時は鉄系は磁石にならないというのが常識だった」という。そこで希土類と鉄にホウ素や炭素を組み合わせ、材料を探した。希土類にネオジムを選んだところ、性能が向上し、磁石になる可能性が見えてきた。

 ただ当時の富士通研ではネオジム磁石の研究継続が難しかった。特殊スイッチ用のSmCo磁石の開発が終わるとテーマが変更された。「電子機器メーカーでは通説を覆すような新しい磁石の開発は難しかった。上司は系列会社に打診してくれたが、話がまとまらなかった」と振り返る。

 そこで82年に住友特殊金属(現日立金属)に転職した。新天地でネオジム磁石を完成させ、入社3年目には量産が始まった。

 住友特殊金属が社外にライセンス提供を認めたため、電子部品や車載モーター、風力発電機などネオジム磁石の用途が広がった。2000年には世界の年間生産量が1万トンを超え、現在は10万トンに迫ろうとしている。

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最終更新:9月20日(火)11時40分

日刊工業新聞電子版