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ラジオ×IoT「Hint」開発秘話と、この技術が社会にもたらすもの

SENSORS 9/20(火) 11:49配信

ラジオでありながら、URLをスマホに送信できるIoT的な機能や、Bluetoothスピーカーとしても使えるなど、これまでのラジオの常識を覆す機能を多数備えた製品である「Hint」。クラウドファンディングサービス・CAMPFIREでの支援額は目標金額の1,300万円を超え、2,500万円となっている(9月19日時点)。この「Hint」開発の過程や、これまでになかった新しいラジオを通した世の中への提案についてお話を伺った。

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今回お話を伺ったのは発起人であるニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏、開発面を担ったCerevo柴田健士氏、そしてCAMPFIRE代表の家入一真氏だ。

■ラジオは「気配のメディア」

--まずは、開発のきっかけについて伺いたいです。

吉田: ラジオ局のアナウンサーでもあり、新しいガジェット好き、はたと「ガジェットとして欲しいと思えるラジオがない」ということに気づいたんです。ラジオそのものをガジェットとして捉えてみると、真っ先に「アンテナがついた音の出る四角くて黒い箱」というイメージが思い浮かぶと思います。そのイメージは約100年間変わっていません。しかし機能としては、音が出て電波が受信できれば実はどんな形でもいい。その意味でもっとカッコイイデザインやバリエーションがあっていいはずなのに、誰もそんなことを考えたことがないのではないか?と疑問を抱いたことがきっかけでした。
また、「ラジオが時代遅れ」というのもイメージでしかなくて、その機能とコストとインフラに注目すると、こんなに便利な音声発信メディアはないのです。一度に何千万人が同じ情報にアクセスしてもインターネットで言うところのサーバーが落ちることはないし、聴くだけで情報の受信ができる。かつローコスト。私たちラジオ局は毎日休むことなく放送しているし、国内だけで見ても数にして2億台普及している。ここ10年くらいで現れたテクノロジーと比較しても、こんなにすごいプッシュ型の同時音声発信装置はないんです。
こんなすごいデバイスがそこらじゅうにあるのに、社会の側が有効活用できていない。そしてハードウェアとしても新しいものを作ろうと、数多くの常識を打ち破るデバイスを世に送り出しているスタートアップであるCerevoさんにお願いすることにしました。

--このデザインになった理由はどのようなものですか?

吉田: ベースになった考えが「寂しいのは嫌だけど、煩わしいのも嫌」というニーズは間違いなくある、ということでした。つまり、みんな聞かなければいけない学校の先生の話は嫌いだけど、休み時間に友達とする無駄話は好き。ラジオは圧倒的に後者なんです。ラジオはつければ雰囲気が変わる。でも、つけながらその内容を聞く必要は特にない。
これらを一言で言うと何になるかというと、「気配」だろう、と。そこに誰かいるけど反応を強制されることは決してない。それをデバイスとして実現するために何が必要かと考えていった時に、「無指向性スピーカー」という技術に行き当たりました。その考えが根底にあったので、最初のスケッチの段階から円柱形でした。
そのアイデアは、名前にも反映されています。気配は英語で「Hint」。加えて、だれもラジオに正解を求めない。流れてくる情報をヒントとして生かすも殺すも自由。そういう体験をくれるという意味も込めてこの名前にしました。

--この「Hint」にはラジオから流れるDTMF音(ダイヤル音)を変換し、Bluetoothを通してスマホにURLとして転送する技術が搭載されていますね。その機能はどのように考え、実現していったのでしょうか?

吉田: ラジオについて考えると同時に、今の時代に新しいプロダクトを作るためにはIoTとしての要素が必要と考えていました。ラジオをインターネットに繋げたいけど、デバイス自体にWiFiや3G回線をつけるのはどう考えてもスマートじゃないし、煩わしいことが嫌いなユーザーのお眼鏡に叶うものにはなり得ないと思いました。インターネットにつながったスマホはみんな持っているのに、ラジオ自体にスマホ的な機能を持たせる意味がない。
そんなふうに悩んでいるときに音でURLを配信する仕組みであれば、プッシュ通知こそあれど、特別にアプリをダウンロードしなくていいので、煩雑さもないなと。

--詳しい仕組みについて教えて頂いてもいいですか?

柴田: トーンコネクトさんが開発した技術で、音声の中に含まれる電話で使われるような“ピポパポ“音=DTMF音が信号になっていて、その信号が番組で流れると解析しURLの文字列を認識することができるというものです さらにそのURLをBluetoothの電波に載せて発信することで、Bluetoothの範囲にスマホがあると、アプリを通すことなくそのURLを自動的に受信することができるんです。ユーザーがURLをクリックすれば、一発でWebサイトに誘導することができるので、非常にストレスフリーな情報のやり取りをすることができます。
実はCerevoとしては初の音を取り扱ったプロダクトになるんです。ラジオから綺麗な音が聞こえるようにする仕組みというのは初めての試みでした。社内に前職でオーディオをやっていたメンバーもいるので、そういった人のアドバイスもありながら、最近は3Dプリンターの普及のおかげでスピーカーのオープンソースの設計図などがネットにあるので、そういったものも調べ尽くしましたね。その設計図を見ながら、簡単なデータを作って、弊社にある3Dプリンターで印刷し、すぐその場で音を聴いてみるというトライアンドエラーをひたすら繰り返していきました。

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最終更新:9/21(水) 14:41

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