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トヨタホーム、近未来住宅で「顔認証電子錠」など新技術実証-グループ13社と連携し需要喚起

日刊工業新聞電子版 9月20日(火)13時33分配信

早ければ2―3年後から順次実用化

 トヨタホーム(名古屋市東区、山科忠社長)が近未来の住宅を想定し、先進技術の開発に乗り出した。愛知県刈谷市に建設した3階建ての2世帯住宅を実証の場に、「おうち見守りシステム」や「顔認証電子錠」などを研究開発して、早ければ2―3年後から順次実用化する。国内で住宅市場の縮小が予想される中、トヨタ自動車グループなど13社と進める実証の成果が試される。(名古屋・今村博之)

【地域特性を意識】

 40代で自動車関連メーカーに勤める夫と、職場で知り合った妻、小学生の長女と保育園児の長男に、妻の両親と愛犬―。トヨタホームの住宅展示場「アトリスパーク刈谷」に完成した次世代住宅研究施設「賢美健寿(けんびけんじゅ)Lab(ラボ)」の想定家族は、デンソーやアイシン精機など車部品大手が本社を構える刈谷市の地域特性を意識している。

 実際に実証するテーマは、それぞれのワーキンググループで進める。「おうち見守りシステム」では日立製作所と協力し、8台のカメラで死角をなくして住宅を真上から見た俯瞰(ふかん)映像をタブレット端末などに表示する。不審者の映像は侵入前から録画し、タブレットの操作で音や光による威嚇もできる。

 デンソーやアイシンと取り組む「在宅健康管理システム」は、洗面台のミラーに話しかけると体重、血圧、睡眠時間などのデータを表示するほか、データ解析の仕組みづくりを進める。「顔認証電子錠」は東海理化や富士ソフト、オムロンと連携し、玄関の内外に取り付けた顔認証カメラによる本人確認で解錠する。家族の在宅確認や解錠できないようにする機能も付けた。

腰を据えた研究開発を通じて需要喚起

 そのほか、トヨタ自動車の生活支援ロボット「HSR」との共生や、太陽光集熱パネルの最適利用、天井スクリーン、マルチ充放電スタンド、自動駐車支援ガレージなど盛りだくさんだ。山根満トヨタホーム常務理事は「今回の技術はすべて試作品。本当にニーズがあるのかマーケティングしたい」と一般公開も実施する。

 実は、トヨタホームが近未来の住宅を本格的な施設で研究すのは今回が2回目。前回は2005年の日本国際博覧会「愛・地球博(愛知万博)」に合わせて、「トヨタ夢の住宅PAPI(パピ)」を完成させた。約10年後を見据えた実験住宅で、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を採用したスマートハウス(次世代環境住宅)などにつなげた。だが、豊田中央研究所(愛知県長久手市)の敷地を借りて建てていたため、12年に役割を終えていた。

【危機感隠さず】

 野村総合研究所の調査では、新設住宅着工戸数は15年度の約92万戸から20年度に約79万戸、30年度には約54万戸まで減ると予測する。平田俊次トヨタホーム専務は「新しい提案や住まい方を示していかないと、市場の“グリップ(握り方)”が弱まる」と危機感を隠さない。

賢美健寿Labでは「適接同居」と表現する2世帯の中間領域や働く女性、高齢者が暮らしやすい装備も先進技術とともにコンセプトに掲げており、腰を据えた研究開発を通じて需要喚起に挑む。

最終更新:9月20日(火)13時35分

日刊工業新聞電子版