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「藤沼湖」湖底を歩く...記憶と歩み伝えたい 10月9日にイベント

福島民友新聞 9月20日(火)11時10分配信

 「震災の記憶を忘れてはならない」。東日本大震災で堤が決壊し、下流域で甚大な被害が出た須賀川市の農業用ダム「藤沼湖」の湖底を歩くイベントが10月9日に行われる。震災から5年半が経過する中、ダムの復旧工事が年度内に完了する見込みとなり、「湖底を歩く会」は最後の開催となる。関係者は「現在の藤沼湖の姿を見て、多くの犠牲が出たことを心にとめてほしい」と打ち明ける。

 湖底を歩く会は、地元の長沼商工会の藤沼湖自然公園復興プロジェクト委員会が主催し、2013(平成25)年4月に続き2度目の開催。委員長の深谷武雄さん(71)はじめ関係者が今月上旬にコースの下見をした。1度目は何もなかった湖底も草が生い茂り、イノシシの足跡などもあった。深谷さんは「初めて歩いた時と全然印象が違う」と驚き、月日の経過と生命の強さを感じたという。

 1度目の湖底を歩く会で下見をした際、湖底で発見したヤマアジサイに希望を見いだした深谷さん。アジサイは復興のシンボルとして「奇跡のあじさい」と名付けられ、全国の支援者に育ててもらう事業が続けられる。現在は、北海道から沖縄県まで全国各地の約1200人がアジサイを育てている。かれんな花を咲かせる梅雨の時期になると、近況を知らせるメールや手紙が商工会に届く。

 熊本県の熊本市や宇土市にもアジサイを育てている人がいる。熊本地震が起き、心配した深谷さんが連絡すると、「アジサイも元気だから心配しないで」と明るい声が返ってきた。

 来年6月ごろには各地から人が集まり、ダムや、近くにある温泉施設「藤沼温泉やまゆり荘」など、自然公園の一帯にアジサイを植えるイベントが計画されている。深谷さんは「湖底を歩く会が来年に向けてのプレ行事になる。復旧が進み、ダム周辺の緑がさらに濃くなった気がする」と前を向く。商工会長の遠藤吉光さん(64)も「前回は風景が殺伐としていたが、現在はエネルギーを感じる」と同じ思いだ。

 当日は委員会などの案内で湖底を歩き、被災状況やダムの歴史を学ぶ。申し込みが必要で参加費は保険料などを含め500円。長袖と長靴、手袋を着用し、弁当を持参する。時間は午前10時30分~午後3時。問い合わせは長沼商工会へ。

福島民友新聞

最終更新:9月20日(火)11時10分

福島民友新聞