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社説[パラリンピック閉幕]挑戦する人の強さ見た

沖縄タイムス 9月20日(火)9時45分配信

 頂点を目指すアスリートたちの限界に挑む姿は人間が持つ無限の可能性を感じさせる。全力でぶつかった時のすごみは「障害を乗り越えて」という表現がやわに聞こえるほど迫力に富む。

 南米で初めて開かれた夏季パラリンピック・リオデジャネイロ大会は12日間の熱戦を終え、閉幕した。共同通信社がブラジルの人たちの意識の変化を現地から伝えている。

 「障がい者が健常者より劣っているという価値観がひっくり返された」「何かを克服して新境地を開く人間の強さに感動した」

 22競技528種目で、200を超える世界記録が生まれたという。競技レベルは確実に向上し、義足や車いすなど用具の改良も進んでいる。

 リオ大会は、パラスポーツが進化しつつあることを強く印象づけ、パラリンピックのイメージを塗り替えた大会でもあった。

 印象に残った選手は多い。 国内の義足スプリンター界をリードしてきた山本篤選手(34)は、金メダルにはわずかに届かなかったものの陸上男子走り幅跳びで貫禄の跳躍を披露し、銀メダルを獲得した。

 視覚障がい者マラソン女子の道下美里選手(39)は、一度は自信をなくし第一線から退いた。仲間に後押しされて戻ったリオの大舞台での銀メダルはあっぱれだ。

 ウィルチェアー(車いす)ラグビーの仲里進(39)や車いす陸上の上与那原寛和(45)ら県勢のベテラン選手も、パワーあふれる動きで県内の若者をうならせ、多くの県民に感動を与えた。

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 ウィルチェアー・ラグビーは、車いす同士のぶつかり合いが許された唯一のパラリンピック競技である。激しいタックルでぶつかると、火花が飛び散ることもあり、その迫力は半端でない。

 日本チームは、3位決定戦でカナダを破り、この競技で初のメダルとなる銅を獲得した。

 4大会連続出場のベテラン仲里選手と、「沖縄ハリケーンズ」のチームメートである乗松聖矢選手(26)がともに出場し、持てる力を最大限に発揮して勝利に貢献したことは、沖縄にとっては、まさに値千金。ベテランと若手の活躍をたたえたい。

 車いすT52クラスの1500メートル決勝に出場した上与那原選手は、メダルこそ逃したものの4位に入賞し3大会連続出場の意地を見せた。3位との差はわずか0秒08だった。

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 日本選手団は史上初めて、金メダルなしに終わり、目標の「金10個」には遠く及ばなかった。ただし、メダル総数は銀10、銅14で、前回2012年のロンドン大会を上回っている。

 この事実は、日本選手が金メダルを狙える力を備えていること、しかし、世界的に競技レベルが向上しメダル争いが激しくなってきたこと、を示している。

 2020年の東京大会に向け選手強化が必要だ。練習場や練習時間は十分に確保されているのだろうか。県が音頭を取って県民の関心を高める取り組みが欠かせない。

最終更新:9月20日(火)9時45分

沖縄タイムス

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