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雨漏りする前に! 屋根リフォームはいつ・どう行えばいい?

SUUMOジャーナル 9/20(火) 8:00配信

築年数の経った家の屋根は雨や雪、風、日差しなどの影響を受けて劣化しています。台風、豪雨、突風、大雪、地震など、さまざまな自然災害が多い日本では、屋根に空いた隙間からいつのまにか雨漏りが…なんていう事態も。家を守る大切な役割を担う屋根の劣化は建物全体の耐久性・快適性にも関わります。将来も安心して住み続けられるよう、葺き替え(ふきかえ)や補修など屋根リフォームの基本を把握しておきましょう。

■“寿命”は20年!? 屋根リフォームのタイミングって?

屋根をリフォームする前に知っておきたいのは「リフォームするタイミング」「工法」「費用と工期」「屋根の素材」の4つ。それらの基礎知識について、創業以来、関東地方を中心に4100棟以上の屋根工事を行ってきた専門会社[街の屋根やさん]の高木栄一さんに伺いました。

まず、屋根のリフォームはどのようなタイミングで行えばいいのでしょうか。
「リフォームを行う時期についての考え方は2つあります。1つめは屋根が劣化してきた時点。もう1つは家の耐震性を向上させるために軽い屋根材に葺き替える必要が生じたときです」(高木さん)

(1)屋根の老朽化……築10~20年を目処に
強烈な風雨にさらされる屋根は、家の中でもとても傷みやすい部分。屋根材の耐久性は素材によって異なりますが、次のような劣化が見られたらリフォームのサインです。
●瓦……ずれている・ヒビが入っている・瓦の接着などに使われる漆喰(しっくい)部分が欠けている(漆喰は20年ほどで劣化する)
●化粧スレート……汚れ、カビ、苔が付着している・色あせている・表面が剥離している(素材表面が劣化すると防水性が落ち、水はけが悪くなるので汚れ等が付着する→さらに防水性が落ちて劣化が加速する)。10年程度で塗装のメンテナンスが必要
●ガルバリウム鋼鈑等の金属屋根……色あせている、さびている(さびが進むと屋根材に穴が空く)

さらに、高木さんによると「実は、屋根材の下に敷いている防水紙(防水シート)が問題になってきます。防水紙の寿命は20年ほど。経年劣化によって破れたり腐食が進んだりするのです。そこから雨水が建物に浸入するので要注意。少しの雨なら屋根裏の断熱材が留めるのですが、天井に雨が染み出るようになったら状態は深刻です」ということで、築20年が一つの目安になるそうです。

【画像1】家を雨漏りから防いでいる屋根構造。屋根の破損は雨漏りの原因に!(画像提供/街の屋根やさん)

【画像2】雨漏りが室内まで浸入していなくても油断大敵。屋根裏が腐食していたり(写真左)、壁内部にカビが発生している(右)場合も多いそう(画像提供/街の屋根やさん)

点検といっても、素人が屋根の上に乗って行うのは危険です。多くの屋根リフォーム会社で無料点検をしているので、築10~20年ほどをめどにプロに見てもらい、屋根表面上だけでなく下地部分も確認しましょう。
プロが行う点検では、「屋根を上から目視」「屋根材を一部外して防水紙の状態をチェック」「壁との接合部分の確認」「雨樋の確認」「希望があれば屋根裏の雨漏り調査」などを行います。
「複雑な形の屋根や、天窓付きの屋根は、切妻、片流れのようにシンプルな屋根に比べると、接合部分の傷みが進んでいるケースも多々見られます。気づいたら雨漏りしていたなんていうことがないよう、しっかり点検を行いましょう」と高木さん。

(2)耐震性改善…1981年5月以前に竣工した家
東日本大震災、熊本地震を機に住まいの耐震性が注目されたことで、地震に負けない家へリフォームすることを検討し、実施する人が増えています。旧耐震基準で建てられた家(1981年5月以前竣工)に対して国や自治体が補助金制度を設けていることもあり、「耐震改修」が広く認識されるようになりました。国土交通省は耐震化をさらに促すため、一部の自治体で今年度と来年度の補助金を現行から30万円上乗せする方針も発表しています。
耐震診断を受けて屋根の耐震改修が必要と診断されたらリフォームを考えましょう。
屋根の耐震リフォームでは、建物の横揺れを軽減するために重い屋根材から軽い屋根材に葺き替える方法が選ばれます。

■工法は主に3つ。劣化状況などに応じて選ぶ

屋根リフォームは主に下記の3つの方法があり、屋根材や劣化状況に相応の方法で行います。
防水紙や野地板(のじいた:屋根材の下地材のこと)まで劣化や腐食が進んでいる場合は葺き替えを選ぶなど、建物にとって一番良い方法で行いたいものです。

【図1】屋根の劣化レベルに応じてリフォームの内容を考えましょう(図表内容は取材により筆者作成:上記内容はあくまでも目安です)

【画像3】カバー工法の施工例:既存の屋根の上に直接、防水紙を敷き(写真中央)、その上に新しい屋根材を葺く(写真提供/街の屋根やさん)

【画像4】葺き替え工事の施工例:瓦屋根に雨漏り発生。瓦を一枚一枚外して(写真中央)、ガルバリウム鋼鈑屋根へ葺き替え(写真提供/街の屋根やさん)

「レベル4では、葺き替え工事のほかに[葺き直し]という工法も行います。防水紙と野地板を新しい物に交換し、屋根材は既存のものを再利用する方法です。瓦そのものはほとんど劣化しない素材なので、屋根の軽量化が必要ないのであれば、葺き替えに比べて屋根材のコストと廃材処理費用が不要になります」(高木さん)

レベル1の部分交換工事は、屋根の状況によって変わりますが、次のような部分補修で済むケースもあります。

●棟板金(むねばんきん)交換工事
化粧スレートなどの屋根材を留めている金属部分である棟板金(屋根面が合わさる山状の接合部分)が強風や豪雨の影響で浮き上がり・ゆるみ・変形・飛散などの被害に遭うケースが見られます。棟板金を固定している木材部分(貫板)が腐食・劣化することで棟板金が外れやすくなり、そこから雨漏りにつながります。
「7~8年ごとに点検するのをお勧めします。台風や暴風に遭った後なども注意してください」と高木さん。
[街の屋根やさん]では、腐食に強いプラスチック樹脂製の貫板や固定力の高いビスを使って棟板金の工事を行っているそうです。

【画像5】施工例:棟板金が2mほど剥がれて落下したため点検。ひどく傷んでいた貫板と板金を交換ししっかり固定(写真提供/街の屋根やさん)

●漆喰工事
瓦屋根では瓦の固定・接着に漆喰が用いられています。瓦そのものはほとんど劣化しませんが、漆喰は風雨や寒暑、直射日光にさらされ続けるとヒビが入ったり剥がれたり、劣化していきます。漆喰が劣化すると瓦を固定する力が弱まるので、風や地震で瓦がズレたり、割れたり、落下したりして、それが雨漏りの原因になってしまいます。
漆喰の劣化が軽い場合は、傷んでいる箇所を取り除き、新しい漆喰を詰め直す[漆喰詰め直し工事]を行います。漆喰の剥がれが激しい場合は、棟瓦(屋根の頂上部分)を取り外して漆喰を詰め直し、棟瓦を積み直す[漆喰取り直し工事]を行います。

【画像6】施工例:ボロボロになった漆喰を剥がして、しっかり詰め直した様子(写真提供/街の屋根やさん)

■特徴を知って新たな屋根材を選ぶ

リフォームは屋根材を見直す良い機会です。耐震性・メンテナンス性・コスト・デザインなど、自分の家に合った屋根材を選びましょう。主な屋根材は下記のとおり。

【図2】耐久性は屋根材によってかなり幅があります。メリット・デメリットを把握して選びましょう(図表内容は取材により筆者作成:上記内容はあくまでも目安です)

【画像7】左:瓦屋根、真ん中:スレート葺き屋根、右:ガルバリウム鋼鈑の屋根(写真/PIXTA)

酷暑から寒冷まで季節の移り変わりがはっきりしていて、自然災害も多い国土だから、近年、屋根材もそうした過酷とも言える環境に合わせて進化しています。注目したい新素材は次の2つです。

●[軽量防災瓦]
樹脂繊維と気泡を混ぜ込んで、重さを従来の瓦の半分以下に抑えた、ハイブリッドタイプ。価格は製品にもよりますが、瓦とほぼ同程度か若干高めです。

●[自然石粒付鋼鈑(ストーンチップ鋼鈑)]
ガルバリウム鋼鈑やジンカリウム鋼鈑に石粒を焼き付けたもの。遮熱性、防音性、防錆性、防傷性をさらに高めている屋根材です。価格は瓦と同程度でガルバリウム鋼鈑よりは高額になります。

■おわりに

「インターネットによる住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する 第9回 調査報告書」(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)によると「屋根や外壁」がリフォーム検討中の場所、第1位だとか。屋根は家の耐久性に左右する場所だけに、ニーズが高いのも頷けます。
普段の暮らしの中で、高い位置にある屋根に目が向くことはなかなかないかもしれません。でも、だからといって「ある日、気づいたら雨漏りが!」という事態は絶対避けたいものです。高木さんも「雨漏りしたら待ったなしですよ」と話していたとおり、建物本体の劣化を一気に早めてしまう原因になります。
定期的な点検と適正なメンテナンスやリフォームを行うことで、ずっと快適な住まいで暮らしたいですね。

●取材協力
街の屋根やさん HP

●参考
・耐震性は大丈夫!? 「瓦屋根」の魅力と注意点とは(SUUMOジャーナル)

金井直子

最終更新:9/20(火) 8:00

SUUMOジャーナル