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日銀、量的緩和の限界を公に認められず? 枠組み修正は「苦肉の策」とも

SankeiBiz 9月22日(木)8時15分配信

 日銀が金融政策の枠組みを「量」から「金利」へ修正したのは1、2年で市場に出回る国債が枯渇する恐れがある中、現実路線に転換したといえる。今後、円高が進んだ場合などに備えて、金融機関の収益をできるだけ悪化させず、マイナス金利を深掘りできる態勢も整えた。だが、年80兆円の国債購入量を減らした場合、緩和の縮小と受け取られる恐れもある。

 現在、日銀は発行額の3分の1超の国債を買い占めている。日銀は今回の枠組み修正で、将来的に緩和手段が手詰まりとなるリスクを未然に防ぐことにした。

 さらに、「総括的な検証」ではマイナス金利の悪影響を詳しく解説。特に、国債の大量購入とマイナス金利の組み合わせで長い期間の国債利回りが予想を超えて低下してしまい、金融機関の収益が悪化し金融仲介機能を低下させる恐れがあると指摘した。

 「量」へのこだわりを捨てることで、長い期間の国債の買い入れ量を減らして金利を調整し、こうした「副作用」を少なくする狙いもある。

 しかし、市場からは「量的緩和の限界を公に認められず、枠組み変更でごまかした苦肉の策」(証券系エコノミスト)との厳しい見方も出ている。今後も日銀の国債保有残高は増え続けるが、日銀幹部は、新たに買い入れる国債を年80兆円から少しずつ減らす可能性を認める。

 日銀の黒田東彦総裁は21日の記者会見で、枠組みの修正は「テーパリング(緩和縮小)ではない」と強調した。だが、国債買い入れ量が減れば、市場は緩和縮小とみなし、金利が急変動する恐れもある。

 一方、消費者物価指数は5カ月連続で前年割れし、2%の物価目標達成への不透明感が高まっているにもかかわらず、追加緩和カードは温存した。米国の利上げや英国の欧州連合(EU)離脱交渉など世界経済の先行きが見えにくくなる中、マイナス金利の深掘りを見送り、過度な円高が進んだ場合に備えて選択肢を残す道を選んだ。(藤原章裕)

最終更新:9月22日(木)8時15分

SankeiBiz