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ロールス・ロイス、F-2後継エンジンに熱視線 積極的な情報開示も

Aviation Wire 9/21(水) 8:59配信

 4年に一度、一般社団法人・日本航空宇宙工業会(SJAC)が開催する国際航空宇宙展(JA)が、10月12日から15日まで東京ビッグサイト(東京・有明)で開かれる。国内では数少ない航空宇宙関連のトレードショーで、重工各社など26カ国・地域から747社(8月31日時点)が出展する。

 一方、業界内からは隔年で開催されるフランスのパリ航空ショーや英国のファンボロー航空ショー、シンガポール航空ショーなどと比べ、JAは国が航空宇宙産業を成長産業と位置づけている割に、日本からの発信力の低さを指摘する声が聞かれる。

 では、海外メーカーはJAをどのように捉え、日本の航空宇宙産業や防衛分野に対し、どのような関心を持っているのだろうか。民間機や軍用機といった分野を問わず、日本市場でビジネスを進める側にとっては、JAは大きな商機とも言える。特に、これから本格化する航空自衛隊の戦闘機F-2の後継機プロジェクトには、海外からも強い関心が寄せられている。

 来日した英ロールス・ロイス(RR)の防衛航空部門アジア太平洋地区担当シニア・ヴァイス・プレジデントのリー・ドハーティ氏に、これらを聞いた。

◆JA「防衛分野で良い機会」

 ドハーティ氏は英国空軍出身。これまでにサプライチェーン改善や、ユーロファイターの戦闘機タイフーン向けEJ200エンジンのサウジアラビアへの納入、エアバスの輸送機A400Mの初飛行などに携わってきた。現在は日本を含むアジア太平洋地区で、各国向けの防衛航空ビジネスを率いている。

 RRが各国向けに提供しているサービスの特徴を、「運用を最大限可能にする効果的かつ効率的な保守サービスを提供している。どの国でも出来るだけコストダウンしたいので、投資から最大限の効果を得られるようにしている」と説明する。

 自衛隊機用ターボプロップエンジンでは、哨戒機P-3Cと輸送機C-130、早期警戒機E-2Cが搭載するT56(旧アリソンが開発)、救難飛行艇US-2が採用したAE2100J(同)、練習機T-5とT-7が搭載するM250などがある。また、陸上自衛隊が導入する垂直離着陸輸送機V-22「オスプレイ」も、RR製AE1107C(T406)を採用している。

 空自が導入する戦闘機F-35についても「リフトファンをRRが供給している」と話すドハーティ氏は、「日本ではIHIや三菱重工業、川崎重工業、富士重工業と共同作業を行っており、技術改善を図っている」と、自衛隊や日本企業との関係の深さを強調する。

 ドハーティ氏は「V-22は非常に重要なプログラム。輸出先として日本が最初に選ばれた。MRO(整備・改修・オーバーホール)とサポートのソリューション提供は川重と協力していく」と、最近の事例を挙げた。

 10月に開かれるJAには、RRも出展する。「我々には大変良い機会だと考えている。特に防衛分野では良い機会になるだろう。確かにファンボローやパリ、シンガポールの航空ショーは重要人物が集まるが、JAではより広範囲な防衛分野の方が集まる。また、JAを訪れる日本企業では海外に出張する機会がない方もいるだろう。JAは詳しい話をする機会になるのではないか」と、ドハーティ氏は強い関心を寄せた。

 ドハーティ氏によると、会場にはファンを展示するほか、映像などで技術を紹介するという。

 日本の中小企業に関しては、「我々はコスト効果と信頼性が高いものを納入できるようにしていきたい。日本の中小企業は、先端部材やエレクトロニクス、コンピュテーションの分野で技術を有しており、関心を持っている。輸出規制などの課題を乗り越えなければならないと思うが、大手と同じく大変エキサイティングな可能性を持っており、協業出来る分野があるのではないか」と、期待感を示した。

◆F-2後継機「ツールセット開示できる」

 では、RRが今回のJAに関心を寄せる理由は何だろうか。前述のように、防衛省関係者や航空機産業に携わる企業との交流ももちろんだが、国産戦闘機F-2の後継機開発が視野に入る。

 F-2は2000年から部隊配備が始まり、2030年代には退役が始まる見通し。エンジンはベースとなったF-16と同じ米GE製F110をIHIがライセンス生産したものを採用している。後継機は先進技術実証機X-2などを用いて開発するステルス技術を採り入れて開発される見込みで、RRはこの後継機のエンジンに関心を寄せている。

 「国際的な入札になり、RRにもさまざまな機会があると考えている。我々は入札に参加するに値する資格やスキルセット、能力を有しており、日本でも長い歴史がある。日本の重工各社とも活動してきた」と語るドハーティ氏は、「我々のツールセットを開示できる。エンジン開発にあたり、どうやって設計しているかも示せる」と、情報開示に積極的な姿勢を示した。

 一方で、日米同盟を背景に自衛隊の装備品は、米国製が優位な状況が続いている。ドハーティ氏は、「日米の同盟関係は承知しているが、日英関係も良好だ。障害は特にないと感じている」と語った。

 自衛隊発足後、日本の戦闘機は米国製エンジンが代々採用されてきた。機体が米国製やそのライセンス生産であるなどに加え、日米同盟や貿易摩擦によるところも大きかった。企業のグローバル化が進んだ今、国産となるF-2後継機のプロジェクトに、RRをはじめとする欧州勢は、これまで以上に熱視線を送っている。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:9/21(水) 22:09

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