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デ・ラ・ソウル、初期作品がデジタル配信できない状況を語る 「歴史の埋蔵」

bmr.jp 9月21日(水)20時0分配信

デ・ラ・ソウル、初期作品がデジタル配信できない状況を語る 「歴史の埋蔵」

デ・ラ・ソウル、初期作品がデジタル配信できない状況を語る 「歴史の埋蔵」

クラウドファンディングを通じて制作費を集め、豪華アーティストを迎えて発表した最新作『and the Anonymous Nobody...』が米ラップ・チャートで初登場1位となったベテラン・ヒップホップ・グループ、デ・ラ・ソウルが、彼らの代表的な作品でもある初期のアルバムがいまだデジタル配信できない状況について語った。

90年代に「ニュースクール」と呼ばれた新たなトレンドの担い手として米ヒップホップ界をリード、独自のスタイルを貫き後進にも大きな影響を与えたデ・ラ・ソウル。2014年3月3日には、彼らのデビュー・アルバムにしてヒップホップ史に残る名作『3 Feet High and Rising』の発売から25周年を迎え、また今年5月14日には、セカンド・アルバム『De La Soul Is Dead』の発売25周年を迎えている。だが、1989年発売のデビュー作『3 Feet High and Rising』から10年以上に渡って在籍したTommy Boy期の作品は、現時点でいずれもまだデジタル配信されていないという状態だ。

こうした状況を受けて彼らは、デビュー25周年の2014年、2月のバレンタインには、Tommy Boyからリリースした全6作を含む旧譜カタログを無料開放。25時間限定の特別企画として、公式サイトでメールアドレスを登録した全員が無料ダウンロードできるという大盤振る舞いは大きな反響を呼んだ。この際、米Rolling Stone誌に対し彼らは、「ずっと俺たちの音楽にアクセスしようと頑張ってくれたファンのための企画。あまりに手に入らない状態が続き過ぎている」「ありがたいことに、アメリカ議会図書館に(デビュー作『3 Feet High and Rising』が保存すべき芸術として)アーカイブされた。でもいまだにiTunesで俺たちの音楽を手にすることができない。ずっと解決しようと頑張ってるんだけど」と特別企画の背景を語っていた。

しかし現在もその問題は一向に解決されないままだ。デ・ラ・ソウル新作発売を記念して、LA在住のライター、塚田桂子氏がメンバーのメイシオに行ったインタビューによると、問題はサンプリングの許諾関係にあったようだ。最新作『and the Anonymous Nobody...』を制作するに当たって意識したことについて訊かれたメイシオは、「一番意識したのは、クリエイティヴ・プロセスとサンプリングの損害費用だろうね。サンプリングはいつだって、デ・ラ・ソウル作品の大前提にあった。あいにく、俺たちのやることはビジネスだから、クリエイティヴィティと衝突するんだ」とコメント。実際に著作権などの問題を避けるために、ミュージシャンたちと録音してきたジャム・セッション音源をサンプリングするという手法を取っている。

この新作をアナウンスした際、彼らは「この10年間、我々のクリエイティブ・プロセスを妨げるレコード会社から離れ、我々はインディペンデントのアーティストであり続けました」と述べていたが、このサンプリング問題にはレーベルとの関係、具体的にはTommy Boyとの対立が大きいようだ。デビュー作『3 Feet High and Rising』では、サンプリングしたザ・タートルズから訴訟を起こされ、170万ドルを支払って示談にしたと報じられたが、「Tommy Boyはちゃんと許諾を取ってくれなかった。キャリアの始めの頃にザ・タートルズとのサンプリング問題にぶち当たった時、Tommy Boyは、サンプリング・クリアランスの対応をちゃんとしなかった、と俺たちを非難したんだ。そんなの全然、俺たちの役目じゃないのに。Tommy Boyは俺たちと対立関係になった末に、『グループ(デ・ラ・ソウル)は書類を提出しなかった』と主張したんだよ。最初の頃は、証明できるような書類を提出してなかったからね。彼らが俺たちに書かせたサンプリング・クリアランスの用紙はあったよ? でもその用紙は、俺たちが提出したっていう証拠になってないんだ。レーベルは本来、俺たちの味方をしなきゃいけないのに」と振り返り、「以降、人々はーー特に弁護士は、サンプリングを“生きのいいビジネス”と捉えるようになり、じっくりレコードを聴いて、サンプルが使われているか検証するようになったんだ。弁護士はアーティストが成功してない限り、全く追いかけはしないどね。だからこの業界は“音楽ビジネス”って呼ばれてるんだよ」と苦言を呈した。

そして、「Tommy Boyとの契約が交わされた時にインターネットはまだ存在していなかったんだ。インターネット時代になってiTunesから初めてリリースされたのが(移籍して2004年に発表された前作)『The Grind Date』だったんだから。それ以前に俺たちがレコードを作ってた頃は、インターネットを使ったダウンロード配給が存在しなかったわけだから、レーベルとまた新しく再契約を交わせるべきなんだよ」と主張。しかし、現在はWarner Music Group傘下のレーベルとなったTommy Boyは、サンプリングの許諾を改めて取らないことを決め、そのためにTommy Boy期の作品はそのまま放置されているのだとか。

「今やWarnerがTommy Boyの代わりにカタログを所有しているから、俺たちは頼んでいるんだ。『君たちが(クリアランスを)やってくれるか? もしそれができないなら、やる価値がないと判断しているのなら、俺たちに渡してくれ。俺たちに対応させてくれ』ってね」、「『3 Feet High and Rising』はアメリカ議会図書館の重要保存作品に登録されているんだ。それなのにインターネット配給盤として存在しない。長年Warnerのいろんな担当者と話をしてきた。音楽ビジネスで働いている人たちは、自分の仕事に本当に情熱を持っている。彼らが会社を見て、音楽カタログを見て、デ・ラ・ソウルの現状を見ると、『ワオ! 何か手を打とう!』と言うんだ。でも討論が始まると、俺が耳にするのは、『これは金銭的に価値がない』っていう責任者、役職の言葉。それなのに、正確には一体何が問題なのかってことが100%明らかにされていない。サンプリング問題だってことは常に聞いているけど、具体的に何が問題なのか、すべての問題が何なのかを知りたいんだ。そうすれば修正できるんだから。金銭的に価値がないって言うんなら、頼むから俺たちに渡してくれよ! 俺たちはもう数年それを繰り返している。そんな年月が過ぎる中で、株価も変われば担当者も入れ替わる。問題はいまだにデスクの上に残ったままだし、同じ会話で行き詰ったままだ」と語ったメイスは、この状況を「何よりも、歴史の埋蔵だ」と表現している。

最終更新:9月21日(水)22時0分

bmr.jp

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。