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台風16号接近、福祉施設の対応分かれる 神戸

神戸新聞NEXT 9月21日(水)7時30分配信

 台風16号の接近で、兵庫県内でも20日、避難勧告や避難準備情報が発令され、神戸市内では土砂災害警戒区域が対象となった。8月末の台風10号豪雨では、岩手県岩泉町の高齢者グループホームが氾濫した川の濁流にのまれ、犠牲者を出したばかり。神戸の福祉施設では、利用者を安全な場所へ移す施設があった一方、情報収集にとどめた施設もあり、対応が分かれた。(中川 恵、石川 翠)


 岩手県岩泉町のグループホームでは高齢者9人が死亡。ホームの施設管理者は発令された避難準備情報について「移動に時間がかかる高齢者らの避難開始を求める」との意味を知らず、危機意識の薄さが明らかになった。

 神戸市によると、市内の土砂災害警戒区域には特別養護老人ホームや病院などが196カ所あり、うち高齢者福祉施設は50カ所。20日午前10時の避難準備情報の発令以降、同市は各施設に「要援護者がいる施設は早めの準備を」と連絡した。

 そのうちの一つで、山の急斜面が建物に迫る同市須磨区妙法寺の特別養護老人ホーム「愛の園」は避難準備情報を受け、利用者を安全な場所へ移動。居室が斜面側にあるため、万が一の土砂流入などに備え、利用者は30メートルほど「水平移動」してホールで過ごした。

 信川恒夫統括園長(60)は「いつもと異なる行動をとると利用者がパニックになる。状況をみながら、不安をあおらないようにしている」と話した。

 このほか、すぐ避難できるよう利用者にエレベーター近くの部屋に集まってもらった施設もあった。一方で「情報を集めている」「対応を検討中」というケースもみられた。福祉施設は利用者が移動できる程度や建物の立地などが異なり、個々の実態に即した対応が求められそうだ。


【避難情報】 豪雨や暴風、土砂災害などが発生したときや発生の恐れがある際、市町村が発令。「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」の3種類がある。国の指針では、避難に時間がかかる高齢者や障害者ら「要援護者」は準備情報で避難を促す。他の住民は準備情報で移動の準備を整え、勧告で避難を開始。指示は直ちに安全な場所に逃げるよう求める。従わない場合も罰則はない。

最終更新:9月21日(水)7時52分

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