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スポーツ競技、翻弄される「両性具有」選手 男と女、二つの性的特徴…どの枠に?

withnews 9月22日(木)7時0分配信

 スポーツ競技で、男性と女性、どちらの性にも共通する身体的特徴を持つ人は、どの「枠」で戦うべきだろうか? 男性と女性の境目が必ずしもすっぱりと割り切れない生命科学の現実に翻弄(ほんろう)される、何人もの選手たちがいる。リオ五輪が残した課題の一つとして、性の問題を取り上げてみたい。(ジャーナリスト・小林恭子/WEBRONZA筆者)

【写真】疾走する南アフリカ・セメンヤ選手 圧倒的走りでリオ五輪金メダルに

南アのセメンヤ選手は金メダルを獲得した

 8月20日、南アフリカ共和国の陸上選手キャスター・セメンヤは女子800メートルを1分55秒28で走りきり、金メダルを獲得した。

 この時、6位に終わったのが英国を代表したリンジー・シャープ選手だ。競技終了後、シャープはBBCのインタビューの中で、涙ながらにこう述べた。

 男女それぞれの性的特徴を持つ「両性具有」の選手たちと戦うのは「本当につらかった」。

「性別検査」を受けた3人

 シャープが、セメンヤ選手や、2位のブルンジ代表フランシーヌ・ニヨンサバや、3位のケニア代表マーガレット・ワンブイを指しているのは明白だった。3人とも男性か女性かを判定する性別検査を受けたことがあるからだ。

 昨年7月以前は競技に有利と見られる男性ホルモンが過剰な女性選手は抑制剤を摂取するなどの規制があったが、これが撤廃されたことで「勝つのがとても難しくなった。ベストを尽くしたのに」とシャープ選手は続けた。

 シャープは1分57.69秒で走り終わったが、メダルを取れなかったカナダやポーランドの選手と抱き合う様子をカメラが捉えた。「私たちは一心同体よ」というメッセージが伝わってきた。

「白人としては2番目にレースを終えた」発言

 シャープの前にゴールインし、5位となったポーランド代表ジョアンナ・ジョズヴィクは後に「白人としては2番目にレースを終えた」と発言したが、南アフリカ、ブルンジ、ケニアを代表する有色人種の選手対英国、カナダ、ポーランドを代表する白人選手という構図も見えてきた。

 走り終わった直後に他の選手と抱き合うシャープに手を差し伸べる格好で立っていたのがセメンヤ選手(25歳)だ。近年、性別検査問題でもっとも注目を浴びた一人だ。

 低音の声と筋肉質の体を持つセメンヤは子供時代から「男の子のような女の子」としていじめられてきたという。

 男なのか? 女なのか?

 セメンヤ選手は性別の判断が難しく、通常は女性あるいは男性と識別される身体的特徴を持つ「インターセックス」、「両性具有」だが、これまで「女性」として生きてきた。

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最終更新:9月22日(木)7時0分

withnews

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。