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金融政策は「量的緩和策」から大きな方向転換、物価目標の達成は長期戦に

THE PAGE 9月21日(水)17時41分配信

 日銀は、21日の金融政策決定会合において、これまでの金融政策の枠組みを変更し、短期金利と長期金利の目標を定める新しい措置の導入を決定しました。これは何を意味しているのでしょうか。

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物価目標の達成は長期戦に

 日銀は前回(7月)の金融政策決定会合において、2013年4月から実施してきた量的緩和策について「総括的な検証を行う」ことを決定していました。しかし、その内容は明らかにされませんでしたから、市場では様々な憶測が飛び交う状況でした。結局、総括の内容としては、デフレ脱却についてある程度の効果があったとしながらも、日銀が掲げてきた2%の物価目標については、原油価格の下落などから実現できていないことを正式に認めるものとなりました。

 また日本におけるインフレ期待の形成メカニズムについても触れており、物価目標の実現にはより多くの時間がかかる可能性についても示唆しています。

従来の量的緩和策からの大きな方向転換

 日銀はこの総括をベースに、年間80兆円のペースでマネタリーベースを増加させるという従来の枠組みは維持しながらも、長期金利と短期金利の目標を定めるという新しい方策の導入を決定しました。具体的には短期金利についてはマイナス0.1%、長期金利については0%程度で推移するよう、マイナス金利や国債の買い入れを実施します。これによってイールドカーブ(国債の残存期間と金利の関係をグラフにしたもの)の傾きはある程度保たれることになります。

 このことは、従来の量的緩和策からの大きな方向転換を意味しています。特に重要なのは、物価目標の達成が困難であることを正式に認め、長期戦として取り組む姿勢を明確にした点です。日銀は今後も緩和的なスタンスを継続するという点では変わりありませんが、必要であれば、いつでも大規模な追加緩和を実施するというほどの状況ではなくなりました。

金融政策はマイルドな内容に

 銀行の収益について配慮した点も重要です。銀行は長期金利と短期金利の差(利ざや)を使って利益を上げていますが、これまでは銀行の収益をあえて奪うことで、貸し出しを増やそうと試みてきました。しかし、今後は銀行の収益を確保できる範囲で緩和策が行われることになりますから、金融政策はマイルドな内容にならざるを得ません。

 従来の限界点を認めた点は評価すべきですが、一方で、これまでの円安や株高は日銀の積極姿勢に依存してきた面も大きいというのが現実です。今回の結果は、場合によっては円高や株安を招いてしまう可能性もあるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:9月21日(水)17時41分

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