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日本に「同一労働同一賃金」は根付くのか?

ZUU online 9/21(水) 6:10配信

現在、日本では「非正規雇用」が大きな社会問題となっている。厚生労働省が発表した資料によると、2015年には雇用者全体の37.5%が非正規雇用労働者と、その数字は4割に迫りつつある(雇用者は役員を除く)。非正規雇用の増加が、伸びない消費や、経済の動向に影響を与えるのは当然だ。

一例を挙げると、これと連動していると思われる数字に、自動車保有台数統計がある。全国軽自動車協会連合会によれば、2015年に、日本で保有されている全自動車約7700万台のうち、軽自動車全体が占める割合は39%と、ほぼ非正規雇用者が占める割合と同じであった。どちらも年々伸び続け、いまや半分を占めようという勢いである。

■なにをもって「同一」とするのか?

雇用問題は、政府にとっても、景気を大きく左右する上で、重要な関心事となっている。GDP国内総生産を600兆円にするための「ニッポン一億総活躍プラン」が2016年6月2日に閣議決定した。秋には、これをもとに大型の経済対策をまとめる方針だという。

このプランの柱のひとつが、「同一労働同一賃金」だ。確かに「同じ仕事をするのなら、同じ賃金にするのが当たり前」である。しかし実際には、それを実行するのは一様ではない。

まず、「何をもって同一労働というのか?」という基準の問題がある。見た目は同じように見えても、責任の重さや習熟度、「転勤に応じられるのか?」といった細かい違いがあり、それをどうやって区分けし、何をどう評価するのか、といった問題である。

■「同一労働同一賃金」を巡る問題

さらに、「給料」と一言にいっても、果たしてそれは「時給」のことなのか、「日給」なのか「月給」なのかによっても変わってくる。終身雇用を前提としたサラリーマンには、賃金上昇カーブというのがあって、「職級」や「年齢」に従って、給料が徐々に曲線を描きながら上昇していき、退職金なども、その中から一定額を積み立てられるようになっていた。

ところが、派遣社員などになると、まったく条件が違ってくる。通常、派遣社員は短期が前提となっているため、一般的に、時給は高めに設定されており、給料も定期的に昇級する仕組みにはなっていない。こうした、まったく違う給与システムを、すべてならして「同一賃金」にするのは無理がある。

このように、企業にとって「同一労働同一賃金」とは、一筋縄ではいかない問題である。だが企業は、何らかの形で、その大変さを受け入れる他に、道はないかもしれない。その際は、おそらく「代わりに正社員を解雇しやすくしてほしい」という条件を、バーター取引にするだろう。

■日本的雇用システムの限界

実は、1995年頃より2015年までの20年間、日本の名目GDPは、終始500兆円のラインをいったりきたりしている。つまり、全然増えていない。それにもかかわらず、役員を除いた全体の雇用者数は、500万人以上増えている。

それは、女性の社会進出や、定年が延びたことによる、高齢者の雇用などによると思われるが、それだけ、企業が人を抱えているということである。要は、今の労働条件のままでは、企業は「これ以上、人を抱えることができない」のである。雇用については、すでにアメリカという先例があり、日本もいずれは「アメリカ化」する可能性が高い。

アメリカとは、自由と競争の国である。アメリカでは、まずは自由であることが優先されているため、解雇も辞職も容易になっている。そこに競争原理が働くため、格差も大きい。対する日本は、比較的セーフティーネットが整っており、保護主義に近いため、その分、変化が遅い。

■これからの働き方

かつては、この「日本型」の雇用形態がうまく機能し、一時は日本を世界第2位の経済大国の地位にまで押し上げた。しかし、そのシステムもいまや完全に制度疲労を起こしている。

うまくいかなくなった以上は、変えるしかない。これが、日本の現状である。近い将来、正社員というは死語となり、仕事はプロジェクト単位で進むようになるだろう。それはちょうど1本の映画のようなイメージだ。持ち味を出してプロジェクトに貢献できる人は引く手数多になる。

「そういう社会になったら非正規雇用が増えるのではないか?」という声もある。しかし、35~54歳の非正規(女性は既婚者を除く)の数は2000年から増加の一途をたどり、今すでに273万人にも至る。すでに溢れているのだ。

優秀な人材を一社に縛ってその最大値を取りに行くよりも、複数の事業で活躍してもらうことで全体の雇用の受け皿も増やす。
そんなことを考えるべき時代の転換点にいるのかもしれない。


俣野成敏(またの なるとし)http://www.matano.asia/
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

最終更新:9/21(水) 6:10

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