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関節リウマチの早期診断技術 ケイティーバイオ 製剤ミスマッチ減

SankeiBiz 9月22日(木)8時15分配信

 身体の複数関節に炎症が起こり、腫れや痛み、さらには関節の変形をきたす「関節リウマチ」。日本では70万~80万人の患者がいるとされ、30~50代の女性にかかりやすいとされる。ただその原因が免疫の異常であるが故に、関節リウマチと診断されるまでに時間がかかり、結果として症状が悪化するケースが少なくない。この病気の早期診断技術の研究開発を進めているのがケイティーバイオ(千葉県船橋市)だ。

 関節リウマチの治療にあたっては、近年、生物学的製剤(バイオ製剤)を使うことが増えているが、その薬代が高い。さらに関節リウマチの症状によって、特定のバイオ製剤が効かないケースもあり、結果として、高価なバイオ製剤を投与しても無駄に終わることも少なくないという。ケイティーバイオが開発した「バイオロジックメイト」を活用すれば、そうしたミスマッチが減らせる可能性が大きい。

 バイオ製剤を投与する前に、血液中に含まれる軟骨破壊酵素「ADAMTS5」の発現量を測定することで、「複数のバイオ製剤のなかから、どれがいちばんよく効くかが調べられる」(津坂憲政社長)という。

 2008年、埼玉医科大学総合医療センター在籍中に特許を出願したが、「出願から1年以内に事業化の見込みがないと大学が判断した場合、特許の権利を大学から発明者に移す」という当時の規定に基づき、現在は津坂社長がこの特許を保有している。

 津坂社長にはもう一つ、大きな可能性を秘めた研究成果がある。10年、東京歯科大学市川総合病院内科准教授だった当時、関節リウマチ患者の血液中に短いフォームのタリン(ショートタリン)が現れていることを発見した。タリンとは、血液のリンパ球内の細胞接着領域に現れるタンパク質で、細胞の接着を促す。このショートタリンの発現メカニズムを応用した関節リウマチの診断薬が「タリンテスト」だ。

 この診断薬に関する特許も出願しているが、当時、所属する大学病院では知的財産に関する規定がなかった。「多くの患者を少しでも早く救いたい」。そう考えた津坂社長は個人で特許を出願。それを機に会社を立ち上げた。

 今年3月、ケイティーバイオは、医療機器開発の日本医療機器開発機構(JOMDD、東京都中央区)に、バイオロジックメイトとタリンテストのライセンス供与を実施した。JOMDDは、両製品に関する米国を含めた一部の国における独占的な開発および商業化をする権利を取得した。上市に向けた大きな一歩を踏み出した。またケイティーバイオはJOMDD以外にも複数の国内外の大手製薬会社との提携も模索している。

 さらにショートタリンは関節リウマチの治療が進むにつれ、その量が減ることもわかっている。津坂社長は「ショートタリンの発現そのものを阻害すれば、関節リウマチを防げる」と考え、ショートタリン阻害薬の開発にも乗り出す。

 一昔前まではどうして起こるのか、原因や治療法がわからず、不治の病とされた「関節リウマチ」。骨粗鬆(こつそしょう)症や骨折、寝たきりの原因にもなるこの病気の発症メカニズムの解明が進むなか、ケイティーバイオの存在感が今後大きく増すに違いない。

最終更新:9月22日(木)8時15分

SankeiBiz