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<豊洲市場>不透明な移転の行方 安全性検証、盛り土の陰に

毎日新聞 9月21日(水)10時42分配信

 ◇技術系職員の認識伝わらず?「築地」と「新宿」に距離感

 東京都の築地市場(中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)の主要建物下に盛り土がされていなかった問題は、都幹部らの証言で次第に経緯が見えてきた。一方で市場の安全性に関する検証はこれから進められ、移転の行方は不透明な状況にある。小池百合子知事は週内にも報告を受け、対応を検討する。【林田七恵、柳澤一男、森健太郎】

 土壌汚染対策を検討する外部有識者の「専門家会議」は2008年7月、地表から深さ2メートルを掘削して高さ4.5メートルの盛り土をするよう提言した。これに先立つ08年5月、当時の石原慎太郎知事が、担当部局・中央卸売市場のトップである市場長の比留間英人氏に「建物下にコンクリートの箱を置く」案の検討を指示した。比留間氏は、09年1月に盛り土の工法を検討する専門家の「技術会議」が建物下に空洞をつくらない方向性を確認したことを受け、「(箱案は)採用できない」と報告し、石原氏も納得した。

 比留間氏は盛り土を前提に計画を進め、09年7月に市場長を岡田至氏に引き継いだ。しかし、遅くとも10年7月の時点では「建物下を空洞にする」計画に変更されていた。変更は、土壌汚染対策工事の契約に関する書類を決裁した岡田氏にも知らされず、都の局長級幹部らは盛り土がされるとの認識で一致していた。

 一方、中央卸売市場の担当職員によると、一定規模の構造物をつくる場合、メンテナンスのため床下に空洞をつくることは常識だった。技術系職員の間で盛り土がないことは共通認識だったという。

 中央卸売市場は、豊洲市場の設計・施工を主に担う新市場整備部が築地市場内、その他の部は新宿区の都庁本庁舎内にある。当時の都幹部は「築地と新宿との間で距離感があった」として、技術系職員の認識が他の職員に伝わっていなかった可能性を示唆する。

 空洞案が採用されたのは、豊洲市場開場後に再びベンゼンなどの有害物質が検出される可能性が懸念されたためだ。担当職員の間で、土壌汚染問題が再発した際、土を掘り起こして作業できるスペースを確保した方がいいとの議論になり、最終的に床下に4.5メートルの空洞を設け、重機が入れるような空洞をつくることが決まった。

 計画変更を公表しなかった理由について、ある元都幹部は「公表すれば『土壌汚染問題は解決していないのか』との臆測が広がると現場レベルで考えたのだろう。問題が大きくならないようにと考えるのは事務方の特徴だ」と話した。

 豊洲市場の安全性は再設置された専門家会議で検討される。一方、都庁内に設置された外部有識者の「市場問題プロジェクトチーム」も費用面の妥当性を含め建設の経緯を議論する。これらの結果を踏まえ、小池知事が市場の移転に関する結論を出す見通し。

最終更新:9月21日(水)15時12分

毎日新聞