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富士通研、波長制約のない一括変換技術を開発

EE Times Japan 9/21(水) 13:34配信

■Tbps級の通信環境を実現する技術開発を

 富士通研究所と独フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所は2016年9月20日、次世代の光ネットワークで必要とされる、波長多重された信号を一括して波長変換する方式を開発し、1Tビット/秒級の信号を用いた実証実験に成功したと発表した。

【写真:今回開発した波長変換技術】

 現行の光ネットワークは、異なる波長の光信号を束ねて1つの光ファイバーで伝送する波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術により、光ネットワーク内の多地点間を大容量かつ低遅延で接続している。1波長当たりの容量は、偏波多重直交位相変調方式により100Gビット/秒が一般的だが、より多くの変調方式を採用することから、毎秒テラビット級の大容量の通信環境を実現する技術開発が進められている。

 光ネットワーク内の多地点間を接続する場合、同じ波長を含む光信号を同じ光ファイバーで伝送できないため、光中継ノードで同じ波長が重ならないように、波長をずらして衝突を回避する波長変換機能が必要になる(図1)。

 従来は、一度電気信号へ変換する方法(図2左)や、非線形光学効果と波長フィルターを用いる方法(図2右)が提案されていた。しかし、電気信号への変換は、電気信号と光の相互変換による処理遅延の増大に加えて、波長ごとに変換回路が必要なため、波長を多重する数が増えると、消費電力が増大してしまう課題があった。

 非線形光学効果と波長フィルターを用いる方法では、一括して波長を変換できるが、変換前の信号の波長だけを除去するフィルター素子が必要となるため、さまざまな波長の信号に対応することが難しく、実用化に課題があったという。

■偏波フィルターを活用

 富士通研究所などは今回、非線形光学媒質に光信号と励起光を合わせて入力することで、入力された光信号と波長変換された光が混在した信号を生成することに着目。波長変換に伴って光信号の偏波状態を変化させ、偏波フィルターで波長変換前の光信号を除去し、波長変換後の光信号のみを抽出する新しい一括波長変換技術を開発した。

 また、変換前光信号を垂直偏波・水平偏波の2つの成分ごとに分離して並列に波長交換し、再び合成することで、偏波多重信号に対応する技術を開発。同原理に基づく回路を試作し、1Tビット/秒超の偏波多重信号を一括変換する実験に成功したとする。同社は、「光の波長や変調方式に制約なく機能する一括波長変換機能の実現は世界初」と語る。

 同技術により、従来1Tビット/秒の大容量光信号の波長変換のために10台の電気信号への変換が必要な場合も、1台の波長変換装置による一括変換が可能となる。つまり、従来の10分の1以下の電力で同等の機能が実現できる。変換前後の波長に制約もないため、柔軟に構成を変更できる次世代光ネットワークの実現に貢献するという。

 同技術の実用化については、「2020年ごろを目指す」(富士通研究所)とした。

最終更新:9/21(水) 13:34

EE Times Japan

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