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<名古屋城天守閣復元>河村市長また方針転換「20年完成」

毎日新聞 9月21日(水)10時47分配信

 名古屋城天守閣の木造復元事業について名古屋市は20日、「2020年完成」を前提とした補正予算案を取り下げない方針を正式に表明した。河村たかし市長は、短い工期などを疑問視した議会側の指摘を受け、一度はリニア中央新幹線開業の27年をめどに完成時期を先送りすると述べていた。今回の市長の方針転換は、議会が予算案を否決すれば業者による訴訟リスクを回避できる一方、議会が軟化すれば事業の早期着手も狙えるとの両にらみの政治戦術との見方が出ている。

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 市は公募で竹中工務店を優先交渉権者に選定、基本設計費など計10億円の補正予算案を6月議会に提案した。一方、議会側は「時期にこだわらない木造復元」との回答が最多だった市民アンケート(5月)の結果などを根拠に、完成時期を27年に延ばすことなどを求めた。結果、市長は「議会の声に耳を傾ける」として20年完成の旗をおろし、議会側は予算案を議決せず継続審査とした。

 市は当初、予算案を取り下げて工期や収支計画を再検討し、改めて公募する算段だった。ところが市が弁護士に意見を求めたところ、現状で竹中工務店との交渉を一方的に打ち切ると、訴訟を起こされるリスクを否定できないとの回答を得た。

 市によると、「議会から予算案の承認を得られない場合」などには、訴訟リスクなしに市側から交渉を打ち切ることができる条項があるという。

 一方、議会は「木造復元に反対した」と市民の目に映るため、否決には慎重だ。仮に議会が何らかの譲歩を示せば、議論が停滞している木造復元事業が一歩進むことになり、本来、早期着工を求めていた市長の意にかなう結果となる。ある市幹部は「訴訟リスクの懸念に加え、木造復元の早期完成になお強いこだわりがある」と解説する。

 ただ、議会内には、こうした政治戦術に反発する議員もおり、事業そのものの行方が流動的になる可能性もある。【三上剛輝】

最終更新:9月21日(水)11時26分

毎日新聞