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台風16号、伊勢志摩で9000食以上の給食廃棄 暴風警報発表時刻が明暗分ける /三重

みんなの経済新聞ネットワーク 9月21日(水)12時54分配信

 9月20日、台風16号による影響で広域伊勢志摩圏内の小・中学校で提供する給食を廃棄しなければならない事態が発生した。その数9000食以上。(伊勢志摩経済新聞)

【その他の画像】給食センターは検便をしている人以外の立ち入り禁止

 気象庁の発表によると台風16号は、20日0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸した後、太平洋沿岸を東よりに進み、昼過ぎに和歌山県田辺市付近に再上陸。その後、三重県を横断し東へ進んで21時ごろ東海道沖で温帯低気圧に変わった。

 三重県内では、降り始めからの総降水量(19日10時~20日23時)は、四日市で277.0ミリ、最大瞬間風速(最大風速)は、上野で28.8メートル(16.3メートル)、紀北町紀伊長島で24.7メートル(12.8メートル)を記録した。

 気象庁は10時11分、三重県の沿岸部の自治体に一斉に暴風警報を発表。お隣の和歌山県沿岸部の田辺市や新宮市などにはそれよりも約5時間早い5時14分に暴風警報を発表した。警報発表を受けた小・中学校では児童・生徒の安全を優先し、自宅待機、休校、登校後であれば下校などの措置を取らなければならない。

 今回の台風で問題になったのは気象庁が暴風警報を出した時刻が非常にまれなケースだったからだ。給食を作るか作らないか、食べさせるか食べさせないかの判断が各市町で明暗を分けた。

 志摩市は学校給食共同調理場で市内の小学校15校、中学校7校の給食約3750食を作っているが、ほとんど全てを廃棄しなければならなかった。志摩市給食センター(阿児町)所長の北村和茂さんは「8時の時点で警報が解除されていなければ作らないが、その時点では警報が出ていなかったので調理に取り掛かった。登校後に下校する場合、給食を早めに食べさせる対応を取ることがあるので、それを想定して少しでも早く作って規定内に届けようと準備したが、途中で警報が出たためにストップして廃棄せざるを得なかった」と打ち明ける。この日のメニューはチキンカレー、麦ご飯、フルーツポンチ、牛乳など材料費だけで約90万円。

 伊勢市は中学校12校(うち1校休校)の給食を共同調理場で準備したが、約3750食分が無駄になった。小学校24校(うち3校休校)は自校調理で21校全ての学校で調理し、15校は給食を食べさせて帰らせたが、6校分の約1700食を廃棄処分した。

 鳥羽市は幼稚園1校、小学校5校(うち1校休校)、中学校3校分の約1300食を共同調理場で調理し提供。この日は給食を食べさせて下校させた。神島小学校と神島中学校は自校調理のため食べさせて下校、菅島、桃取、答志の小学校、答志中学校は自校調理だが運動会の振替休日のため給食提供の心配はなかった。

 南伊勢町は小学校3校、中学校2校それぞれで自校調理だが、前日の時点で給食を止め非常食にするよう対応した。湯を沸かして調理するだけのレトルトパックは、調理開始時間をギリギリまで引き延ばすメリットがある。南勢中学校ではレトルトのスパゲティを湯に入れて調理していた時に警報が出たので速やかに食べさせて下校させたが、残りの4校は湯を沸かしただけで、調理開始前だったために給食を食べさせずに帰らせた。

 尾鷲市(小学校7校、中学校2校)は7時前に給食を作らないと判断し、5校を休校に、4校は3限目で下校させた。熊野市(小学校9校、中学校7校)、御浜町(小学校4校、中学校3校)、紀宝町(小学校5校、中学校2校)は和歌山県新宮市に近く、新宮市で早朝から警報が出ていたため自宅待機からの休校とし、給食を作らなかった。大紀町(小学校4校、中学校2校)は食べさせて下校、紀北町(小学校10校、中学校4校)は赤羽小学校・中学校で給食を食べさせて下校、紀北中学校と潮南中学校は振り替え休日、残り10校は自宅待機からの休校となったため給食を作らなかった。

 同様に愛知県豊橋市と田原市にも10時38分に暴風警報が発表され、豊橋市(小学校52校、中学校22校)は4カ所に共同調理場を設置、この日は約3万4000食を調理し各学校に配送した。その後は各学校の判断に任せた。田原市(小学校18校、中学校6校)は全校下校させ(うち4校が休校)、この日は4600食が無駄になった。

 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課によると「心情的に、作った料理を廃棄しなければならないことについて、もったいないと素直に思うが、非常時で暴風警報が出るほどの危険な状況であることを考えると、その日のうちに有効活用することは二次災害の心配もあり想定しにくい。学校給食はあくまでも児童・生徒のために作られるもの。学校給食法もそれを前提に作られた法律で、今回のように提供せずに廃棄しなければならないような状況は考えていない。各地域ごとでリスク分散できる対応が望ましい」と話す。

 北村さんは「2013年9月から稼働するこの給食センターでは初めてのケース。今回は3連休後ということも重なり業者への発注など非常に判断に苦しんだ。職員も子どもたちにできるだけ早く食べさせることができるようにと柔軟に対応してくれたが、どうすることもできなかった。今回、現状のルールにのっとると料理を廃棄しなければならなかったが、同様のケースが発生した場合を想定し、県とも相談しながら有効に対応できるように最善の方法を探して行きたい」とも。

みんなの経済新聞ネットワーク

最終更新:9月21日(水)13時54分

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