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<沖縄>米海兵隊員の本音は…「辺野古裁判聞いたことない」

毎日新聞 9月21日(水)11時24分配信

 ◇「海兵隊がいるから事件起きるは偏見」「自衛隊なんて役に立たない」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設を巡る国と沖縄県の法廷闘争は、16日の福岡高裁那覇支部判決で県側が敗訴したが、翁長雄志(おながたけし)知事は徹底抗戦の構えを崩していない。沖縄の根強い反基地感情の背景には、米兵による事件や事故が後を絶たない現実がある。中でも多いのが、在沖縄米軍の約6割を占める海兵隊員や元隊員が関与するケースだ。当事者たちはどう思っているのか。基地の街を歩いた。【川上珠実】

 17日夕、金武(きん)町の海兵隊基地「キャンプハンセン」近くのバーでビールを飲んでいた20代の海兵隊員3人は「裁判? 聞いたことないな。昨日からテレビを見ていないから」と肩をすくめた。知事が裁判で、県内移設を拒否する理由の一つとして米兵による事件事故の多さを挙げたことを説明すると、3人は「同じ仲間が事件を起こしているのは本当に恥ずかしい。でも、海兵隊がいるから事件が起きるというのは偏った見方だと思う」と浮かない表情をした。

 沖縄に駐留して1年余りの若い3人に戦闘経験はないが、有事に真っ先に駆け付ける海兵隊員のプライドは高く、勇敢さの象徴と捉える米国人も多い。5年前に海兵隊を除隊後、沖縄に移住した米軍属の男性(30)は15歳の時に米同時多発テロ事件(2001年)があり「平和のためにできることをしたい」と海兵隊を志願。イラク戦争で多数の死傷者が出たファルージャの戦闘も経験した。

 「沖縄が他国に攻撃されたら、今だって市民のために戦う。実戦経験のない自衛隊なんて役に立たない。戦争が起これば、海兵隊のありがたさが分かるはずだ」と力を込める。

 米海兵隊は海外での武力行使を任務とし、世界中に約18万人の兵士を擁する。11年時点で沖縄に駐留する米軍人2万5843人の約6割(1万5365人)が海兵隊員だった。一方、沖縄県によると、1972年の本土復帰後に県内で民間人が犠牲になった米軍関係者による殺人事件は13件あり、このうち12件が海兵隊員や元隊員が加害者という。米4軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)の中で海兵隊員は平均年齢が最も低く、海兵隊員以外からは「若くて分別がつかない隊員が多い」(元空軍の男性)という声もあった。

 ただ沖縄で声をかけた海兵隊員らは口々に「絶対に市民を傷つけないように教わった」と強調し、海兵隊員の戦闘能力の高さと事件を結びつけられることに不満を漏らす。

 これに対し、海兵隊員として沖縄に駐留した経験がある沖縄キリスト教学院大大学院のダグラス・ラミス客員教授(80)は「地上戦で敵を殺さないといけない海兵隊では、敵は自分より人間の価値が低く『殺していい相手』と教えて罪悪感を抱かないようせざるを得ない」と指摘する。

 海兵隊の体質が事件の多さと全く無関係ではないとの見方を示した。

 沖縄に移住して16年目になるラミス客員教授は「沖縄の人々は米兵の事件をみて米国統治下の占領軍を思い出す。だから沖縄の怒りは激しい。私は長い年月をかけてそれに気付いた」と話した。

最終更新:9月21日(水)11時24分

毎日新聞