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伊東干物店強盗殺人 元従業員が無罪主張「すべて間違い」 静岡

産経新聞 9月21日(水)7時55分配信

 平成24年12月に伊東市の干物販売店「八八ひもの」で、女性社長ら2人を殺害して現金約40万円を奪ったとして、強盗殺人罪に問われた元従業員の無職、肥田公明被告(64)の裁判員裁判の初公判が20日、静岡地裁沼津支部(斎藤千恵裁判長)で開かれた。肥田被告は「すべて間違いです。カネも取っていないし、殺害もしていません」と起訴内容を全面否認し、無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、「犯行当日に干物店に長時間滞在した上、被告のトレーナーや車の背もたれに、社長のものと矛盾しないDNA型の血液が付着していた」と指摘。また、犯行当日には預金口座の残高が約5千円と経済的に困窮していたにもかかわらず、事件翌日に強盗被害に遭った金額とほぼ同額を入手していたことを明らかにした。

 一方、弁護側は「事件の第1発見者は被告だったが、犯人だと疑われるのが嫌で警察や消防に通報しなかった。店での滞在は10分間程度で、現場に約40万円の現金があったことも立証できない」と反論した。

 起訴状によると、肥田被告は24年12月18日、同市の干物販売店内で社長の清水高子さん=当時(59)=と従業員の小淵慶五郎さん=同(71)=の首を刃物で刺すなどして殺害し、店内にあった現金約40万円を奪ったとされる。

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 ◆凶器など直接証拠見つからず 裁判員、迫られる難しい判断

 伊東市の干物販売店で女性社長ら2人が殺害された事件では、強盗殺人容疑で逮捕、起訴された肥田公明被告が捜査段階から一貫して否認を続けており、凶器などの有力な直接証拠も見つかっていない。検察側は肥田被告の車の目撃証言など、100点を超える状況証拠を積み上げて立証する方針。厳しい求刑も予想されるため、裁判員は事実認定と量刑の両面で難しい判断を迫られそうだ。

 今回の強盗殺人事件では、殺害された2人の遺体が店内の冷凍庫から、刃物で首を切られた状態で見つかった。周辺には大量の血痕があったものの、凶器は発見されず、目撃者もいなかった。弁護側は「肥田被告が返り血を浴びた形跡もなく、犯人であることを裏付ける直接的な証拠は何もない」と主張する。

 こうした中で検察側が立証の支えとするのは、車の目撃証言などの状況証拠だ。肥田被告の車は事件当日、店の駐車場で40分間ほど駐車していたほか、肥田被告が同店から奪われた現金とほぼ同額を入手し、事件の翌日に借金の返済や預金をしていたことを指摘。「(事件があった時間帯に)一緒にいたことにしてほしい」とアリバイ工作を依頼した知人女性の証言も有力な証拠の一つとみている。

最終更新:9月21日(水)9時11分

産経新聞