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モバイルバッテリーの充電効率と速度をチェックする

アスキー 9月21日(水)11時0分配信

モバイルバッテリーは容量だけでなく、機器の充電速度にも違いがある。最新規格“Quick Charge 3.0”と既存規格の充電速度の差やiPhoneシリーズの充電速度をチェック。
 特集1回目ではオススメのバッテリーを紹介した。今回は、オススメのモバイルバッテリーの根拠となるバッテリー容量やスマホの充電規格についてもう少し詳しく見ていこう。
 
 前半ではモバイルバッテリーの容量や出力について、後半ではiPhoneを高速充電できるバッテリーや、Androidスマホよより速く充電する充電規格“Quick Charge 3.0”やUSB Type-C(USB-C)について紹介する。
 

■モバイルバッテリーの容量は実質70%で換算する■
 まずはモバイルバッテリーの容量から見ていこう。特集第1回でも示した充電回数の目安だが、3000mAhのモバイルバッテリー充電できるのは、容量の70%となる約1800mAhの「iPhone」1台ぶんとして計算している。なぜ70%で計算するかというと、それには理由がある。
 
 モバイルバッテリーからスマホのバッテリーを充電する際、いくらか電力のロスが発生する。ひとつは、モバイルバッテリー側では3.7V/3000mAhのバッテリーから取り出した電力を、USB端子の標準電圧の5Vに昇圧する時点だ。さらに、スマホ側で受け取った5Vの電力を3.7Vのバッテリーに充電する際にも電力ロスが発生する。製品によって異なるが、このほかの電力ロスを含めるとモバイルバッテリーで実際に充電できる容量はだいたい70%程度になる。
 
 このほか、モバイルバッテリーの充電容量が少なくなる要因として、繰り返し利用による劣化がある。多くの製品は500回ぶん利用すると50~70%前後まで容量が少なくなる。毎日バッテリー容量を使い切る使い方だと、製品寿命はだいたい2年と考えるといいだろう。
 
■USBポートは出力電力をしっかり確認しよう■
 第1回で紹介したモバイルバッテリーの中には、複数のスマホやUSB機器をまとめて充電できる2ポートや3ポートの製品もある。これらの製品を購入する場合は、合計の出力も確認しておこう。
 
 モバイルバッテリーを利用する際は、なるべく短い時間でスマホやUSB機器を充電してモバイルバッテリーから取り外したい。この場合、スマホなら1ポート当たり5V/1.5A以上の電力がほしい。ほかのUSB機器でも5V/0.5~1A程度の電力はほしい。ここで、特集第1回で紹介した2ポート搭載モバイルバッテリーを比較してみよう。
 
 よく見ると、それぞれ合計の出力電力が異なることがわかる。「QE-AL201」や「TMB-9KS」は合計出力にあまり余裕がなく、スマホを2台同時に充電すると時間がかかることが推測できる。これらの2ポートは、スマホともうひとつ省電力なUSB機器を同時に充電する用途に向いていると考えたほうが良いだろう。
 
 「Grip 4 5200mAh」「Power Plus 3 10050mAh」の合計5V/2.4Aは、スマホを2台同時に充電してもギリギリ問題ないレベルだ。スマホとUSB充電に対応した他の機器の同時充電ならかなり余裕がある。残量が極端に減ったスマホを2台同時に充電する状況はそこまで多くないだけに、価格とバランスのとれた選択肢といえる。
 
 「Power Plus 10050mAh DANBOARD version」は合計5V/3.4Aもあり、バッテリー残量0%のスマホ2台を高速に充電できる。キュートな外見に似合わずヘビーモバイラー向けの仕様だ。
 
■iPhoneシリーズを急速充電する方法■
 「iPhone」シリーズを購入すると、通常は「Apple 5W USB電源アダプタ」と呼ばれる5V/1A出力の充電器が付属する。だが、実は両端末とも5V/1A以上での給電に対応しており、対応の充電器やモバイルバッテリーに接続するとより快適に利用できる。
 
 これは以前から「iPadに付属する12Wアダプターまたは10WアダプターでiPhoneを充電すると素早く充電できる」といった豆知識的に語られている内容だ。
 
 もう少し厳密にいうと、アップル独自の“iOSモード”と呼ぶべき急速充電規格があり、この充電規格にあったUSBポートだとiPhoneやiPadに5V/1Aよりも大きい電力を供給できる。古いモバイルバッテリーやUSB充電器ではiPhoneやiPad専用端子を用意していたものもあった。
 
 最近のモバイルバッテリーやUSB充電器は、接続した端末がiPhoneやiPad、Androidのいずれかを判別するICを搭載した製品が多い。cheeroなら“AUTO-IC”、Ankerなら“Power IQ”といった名称のものだ。これらに対応したUSBポートなら、iPhoneやiPadをiOSモードの高出力で充電できる。
 
 では、実際にiOSモード対応のモバイルバッテリーと、非対応のモバイルバッテリーで違いはあるのだろうか。バッテリー残量10%の「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」で充電電力と、30分間の充電量を比較してみた。
 
 モバイルバッテリーは、cheeroの“AUTO-IC”によりiOSモードで充電可能な「Grip 4 5200mAh」と、Android向けでiOSモードには非対応のAnker「PowerCore 10000 Quick Charge 3.0」を利用している。
 
 効果が大きかったのは「iPhone 6s Plus」だ。5V/1.7~1.9Aで充電でき、30分間の充電量は1.5倍になった。「iPhone 6s Plus」ユーザーもしくは新機種「iPhone 7 Plus」ユーザーなら、自宅の充電器とモバイルバッテリーともにiOSモードに対応した高出力なものに変えたほうが良いだろう。
 
 「iPhone 6s」の場合、通常は5V/1Aのままだが、操作中やバックグラウンド処理の実行中は最大5V/1.5Aの電力が供給された。だが、今回のテストはiPhoneを操作せずに充電したので、30分間の充電についてはiOS対応と非対応でほぼ差が出ていない。
 
 追試として「ポケモンGO」を起動したまま10分間充電してみた。結果、iOSモード対応バッテリーだと11%充電できたが、非対応バッテリーだと7%しか充電できなかった。「iPhone 6s」の場合はアプリを操作しながらの充電だと、iOSモード対応モバイルバッテリーを使ったほうが速く充電できるようだ。
 
■Quick Charge 2.0と3.0対応バッテリー、どちらを買うべきか■
 クアルコムの高速充電規格“Quick Charge 2.0”対応のスマホを使っている場合、“Quick Charge 3.0”対応モバイルバッテリーと、通常のモバイルバッテリーのどちらを選ぶかが悩みどころだ。
 
 今のところ“Quick Charge 3.0”対応製品はやや高額なうえ、大半は1ポートの製品。一方、通常のモバイルバッテリーは安価なうえに出力5V/2.4Aで2ポート出力など使いやすい製品が多い。
 
 そこで、実際にauの「Xperia X Performance SOV33」を、今回紹介した10000mAhクラスのモバイルバッテリー2機種で充電し、充電速度を比較してみた。テストに使ったのは“Quick Charge 3.0”対応のAnker「PowerCore 10000 with Quick Charge 3.0」と、合計5V/2.4A出力2ポートのcheero「Power Plus 3 10050mAh」だ。
 
 結果、充電から1時間後を比較すると“Quick Charge 3.0”対応モバイルバッテリーの方が11%ぶん多く充電できた。だが、フル充電までの時間は6分しか短縮されていない。この結果だけを見ると“Quick Charge 3.0”対応モバイルバッテリーの恩恵は確かにあるが、極端な差は出なかった。価格やポート数の多さといったメリットを考えると現状では、非対応モデルの方がおトク感はある。
 
 充電を観察していると、“Quick Chrage 3.0”対応のモバイルバッテリーで「Xperia X Performance」を充電する際、残量0~50%までの出力電力は9V/1.6~0.8Aとかなりのムラがあった。本体がやや熱くなっていたので、定期的に充電電力を抑えていた可能性がある。
 
 なお、後述する“Quick Charge 3.0”対応スマホ「HTC 10」では、同じ条件で7.2V/2.4A前後と充電電力のムラが少なく発熱も控えめだった。“Quick Charge 3.0”対応モバイルバッテリーは“Quick Charge 3.0”対応スマホと組み合わせたほうが、クアルコムの案内どおり充電効率が高く本来の性能を発揮できるものと推測できる。
 
■USB Type-CとQuick Charge 3.0の違いをチェック■
 今年に入って両面挿しのUSB Type-C(USB-C)端子搭載スマホや、新しい充電規格“Quickcharge 3.0”に対応したスマホが増えつつある。そこで、これらの規格の充電についても検証してみた。
 
<b>
USB Type-C(USB-C)充電は2017年に主流に
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 USB Type-C(USB-C)は、裏表どちら向きにも挿せる利用者待望のUSB端子だ。スマホには昨年の「Nexus 5X」「Nexus 6P」に採用されたのを皮切りに、2016年に入ってファーウェイやHTC、マウスコンピューターなどいくつかのメーカーから対応スマホが発売されている。まだ海外で発表されたところだが、最新のXperiaシリーズ「Xperia XZ」や「Xperia X Compact」、ASUSの「ZenFone 3」シリーズにも採用。今年後半から採用端末が一気に増えると見られている。
 
 USB Type-Cケーブルの充電規格だが、従来の5V/1.5Aに加えて、5V/3Aという給電規格が追加された。
 
 また、より高出力なUSB PD(Power Delivery)という最大20V/5Aに対応した規格もある。だが、これは大電力を必要とする機器向けで、現在採用しているのは新「MacBook」などPC製品が中心だ。
 
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Quick Charge 3.0は2.0からどう変わったのか
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 次に、ハイエンドのAndroidスマホを中心に搭載されているクアルコムの急速充電規格“Quick Charge 3.0”だ。現在多くのハイエンドスマホに搭載されている“Quick Charge 2.0”の後継規格となる。
 
 “Quick Charge 2.0”では給電電圧が5V/9V/12Vの3段階だったのに対し、“Quick Charge 3.0”では3.6V~20Vの間で最適な電圧に切り替える設計になった。このほか充電アルゴリズムを変更したことで、2.0と比べ充電速度が最大27%高速に、消費電力の効率を45%改善したという。
 
 もちろん“Quick Charge 3.0”対応のUSB充電器やモバイルバッテリーは“Quick Charge 2.0”と互換性がある。“Quick Charge 2.0”対応のスマホをつないだ場合も急速充電が可能だ。
 
USB Type-C(USB-C)とQuickCharge 3.0を検証
 では、現在発売されているUSB Type-Cや“Quick Charge 3.0”にも対応したスマホは、どの方法の充電が速いのだろうか。
 
 テストとして、USB Type-Cの5V/3Aに対応した「Nexus 5X」と、USB Type-Cかつ“Quick Charge 3.0”対応のau「HTC 10」を用意。ある程度公平に充電速度を比較するため、このテストではUSB Type-CとQuick Charge 3.0の両方に対応したUSB充電器としてサンワサプライの「ACA-QC43CUBK」を利用した。
 
 Quick Charge 3.0での充電に使用したUSB Type-A-USB Type-Cケーブルは、Androidアプリ「ChekR」にて、56kΩの抵抗を実装した正規規格の製品であることを確認している。
 
 充電速度でトップは“Quick Charge 3.0”充電と“Quick Charge 3.0”対応のau「HTC 10」の組み合わせ。3000mAhバッテリー搭載だが1時間35分とこれまでのスマホにはない短時間で充電が完了した。実際の充電電力が実測で7V/2.5A前後(17.5W)と、USB Type-Cの規格5V/3A(15W)すら上回っているうえに、長くなりがちな99%~100%の充電時間も短い。USB Type-Cからの充電はやや遅いが、それでも従来の容量3000mAhスマホは充電に2時間以上かかるので、これでもかなり高速だ。
 
 「Nexus 5X」の充電速度は“Quick Charge 3.0”とUSB Type-Cともにほぼ同じペースだ。どちらもUSB Type-Cの5V/3A(15W)の規格で充電しているものと見られる。実測では5V/2.5A(12.5W)だった。これは、従来のmicroUSBのスマホでよく見られる実測5V/1.8A(9W)よりも高い電力だ。
 
 なお「HTC 10」と「Nexus 5X」を今回紹介した通常のモバイルバッテリー(Quick Charge 3.0非対応)の製品で充電したところ、5V/1.5~2.0Aでの充電になった。5V/2.0Aを超える電力で充電するには“Quick Charge 3.0”対応のものか、USB Type-C端子対応のモバイルバッテリーが必要なようだ。
 
 今後充電速度が速いスマホが欲しいなら、高い電力に対応した“Quick Charge 3.0”対応+USB Type-C搭載端末か、USB Type-C搭載端末を積極的に狙っていったほうがいいだろう。
 
文● 島徹 編集●南田ゴウ

最終更新:9月22日(木)11時6分

アスキー

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