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<名古屋高裁>「だまされたふり」控訴審 証拠不十分で無罪

毎日新聞 9月21日(水)13時27分配信

 愛知県警の「だまされたふり作戦」で特殊詐欺事件の「受け子」として逮捕され、詐欺未遂罪に問われた埼玉県の自営業男性(59)の控訴審判決が21日、名古屋高裁であり、村山浩昭裁判長は、1審・名古屋地裁判決と同じ無罪を言い渡し、検察側の控訴を棄却した。村山裁判長は、1審が否定的見方を示した同作戦の捜査手法を容認したものの、詐欺グループとの共謀の証明が不十分とした。

 顧客のさまざまな要望に応える「便利業」を営んでいた被告の男性は2015年8月、氏名不詳の男らと共謀、名古屋市中川区の高齢男性方に息子を装って電話し、現金300万円を男性の事務所に送らせてだまし取ろうとしたとして、県警に現行犯逮捕された。

 被害者は詐欺に気付いた上で、県警に協力して荷物を発送したが、1審判決は「被害が発生する現実的危険は消失しており、男性の受け取り行為は詐欺未遂罪に問われない」と認定。だまされたふり作戦の捜査手法に否定的な見方を示した。

 高裁の村山裁判長は、詐欺グループと共謀していれば荷物の受け取り行為は犯意が継続し、罪に問えるとの見方を示し、同作戦の捜査手法を容認した。しかし、「男性が共謀したと認める証拠はなく、証明は不十分。被害者が発送した荷物が現金だったと認識していたとは言えない」と指摘した。

 控訴審判決について、名古屋高検の広上克洋次席検事は「被告人の犯意が認められなかったことは遺憾。判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。だまされたふり作戦により「受け子」として詐欺未遂罪に問われた被告の事件では、福岡地裁が今月12日、「被告は被害者がだまされたと気付いた後に加担しており、罪に問えない」として、無罪を言い渡した。【金寿英、谷口拓未】

最終更新:9月21日(水)13時58分

毎日新聞