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誰も知らない豊洲地下空間「盛り土問題」ずさん決裁

日刊スポーツ 9月21日(水)10時2分配信

 豊洲新市場の建物下に盛り土がなく空洞になっている問題で、東京都の歴代の中央卸売市場長が都の調査に、地下空間の存在を認識していなかったと説明していることが20日、都幹部への取材で分かった。担当部局トップが現状を認識しておらず、意思決定のずさんさが問題になりそうだ。「盛り土なし」方針が決まったとみられる09年7月~10年7月当時の市場長も、自ら決裁したことを認めながら、盛り土方針は認識していなかったと打ち明けた。

 都の調査に答えたのは、土壌汚染対策が議論された07年以降の中央卸売市場長5人。都幹部によると、5人はいずれも「豊洲の建物下が地下空間になっているとの報告はなかった。盛り土はされていると思っていた」と話しているという。

 地下空間案の採用方針を含め、豊洲の建設方針は、中央卸売市場の管理部新市場建設課の技術系職員が決めていたとみられ。11年6月には、地下部分が空洞になった基本設計が完成。歴代の市場長の話が事実なら、市場のトップが盛り土方針は実施されないことを認識しないまま、計画が進められてきたことになる。

 都が07年に設置した有識者の「専門家会議」は08年7月、敷地全体に盛り土をする案を提言。しかし、都は09年7月から10年7月の間に、地下空間を利用した工法の採用を決めた可能性が高いとみられている。

 その期間に市場長を務めた岡田至氏(現東京都歴史文化財団副理事長)は20日、取材に、新市場の建物下に盛り土を実施しない工事の発注仕様書の決裁をしたことを認めながら、「(問題発覚まで)盛り土がされてないとは認識していなかった」と述べた。「(決裁の)はんこを押しといて、なんだと言われるが、そこまで確認してなかった」と話した。

 「(都庁のある)新宿と(技術系職員が業務をしていた)築地の間で距離感があり、十分な連携ができていなかった」とも、振り返った。

 問題をめぐっては、当時知事だった石原慎太郎氏(83)が、盛り土をしない工事契約を承認し、11年8月30日付で印鑑を押した契約書が存在することが判明。ただ、石原氏は、建物下が地下空間になっている現在の設計に関し「一切報告を受けていない」と主張。詳細な内容を把握しないまま、印鑑を押していた可能性が浮上している。

 知事や市場長という責任ある立場の人間が、中身を十分に把握せず工事が行われていたとすれば、今後都の意思決定のずさんさが問題になるのは避けられない。都は20日までに、過去の市場長らに対する聞き取りの大半を終了。今日21日に帰国する小池百合子知事に報告するが、責任の所在はどこにあるのか。ますます見えなくなってきた。

最終更新:9月21日(水)10時19分

日刊スポーツ