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核燃サイクル、日米関係に影響不可避 原子力政策、重大岐路

産経新聞 9月21日(水)7時55分配信

 核燃料サイクルの中核を担う高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、廃炉を含めた抜本的な在り方の見直しに関し、21日の関係閣僚会議で政府方針が確認される。もんじゅを廃炉にしたまま高速増殖炉の道筋が描けなければ、サイクルの見直しや日米原子力協定の更新問題など影響が大きい。日本の原子力政策は重大な岐路に立たされている。

 ◆維持費は年200億円

 発電しながら消費した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」-。そう期待されてきたもんじゅは初臨界を達成した平成6年4月以降、真っ当な成果はない。

 7年にナトリウム漏れ事故を起こして停止。22年5月、14年半ぶりに運転を再開したものの、その3カ月後に燃料交換用の機器を炉心に落とし、止まったままだ。20年超が経過して、運転実績は250日間、毎年維持費で200億円かかる。

 26年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画は、もんじゅを核のごみ(高レベル放射性廃棄物)を低減する「国際的な研究拠点」と位置付けており、「国の責任の下、十分な対応を進める」と記載している。

 高速炉は使用済み燃料を再処理した後のプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使う。プルトニウムは地中に埋めて害のない物質に変わるまで10万年近くかかるが、高速炉で燃やせば量は7分の1、期間は300年に短縮されるメリットがある。

 高速炉以外にも、MOX燃料を通常の軽水炉で使う「プルサーマル」がある。ただ原発の審査が滞っており、現状で実施しているのは四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の1基だけ。プルサーマルが進展せず、このまま高速炉がなくなればどうなるか。

 まずは、青森県六ケ所村にある再処理工場の目的がなくなるという議論が起きそうだ。六ケ所村には現在、2964トンの使用済み燃料が保管されているが、再処理の目的がなくなれば、青森県との覚書を踏まえ、燃料を施設外へ搬出しなければならない。

 その結果、各原発に燃料が戻されることになるが、原発の燃料貯蔵プールはどこも容量が限界に近づいている。行き場を失い、運転で発生する分を保管できなければ、原発の稼働は不可能になるという「負のドミノ」が始まりかねない。

 ◆迫る協定期限切れ

 日米関係への影響も懸念される。

 非核兵器国として唯一例外的にプルトニウムを取り出して使えるのは、日米原子力協定があるからだ。「使用目的のないプルトニウムは保有しない」と約束しながらも、日本は現在、核弾頭約6千発に相当するプルトニウムを約48トン持つ。

 日米協定は、30年7月の期限切れが迫る。自動延長もできるが、延長後は米国の一方的通告で協定の破棄が可能だ。もんじゅの廃止を、核燃料サイクルからの撤退準備と米国が受け止めれば、日本のエネルギー政策は根底から揺らぎかねない。

最終更新:9月21日(水)8時11分

産経新聞