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NY爆発容疑者、少数派イスラム系移民 一家地元でトラブル

産経新聞 9月21日(水)7時55分配信

 ■「標的にされ苦情受けた」

 【ニューヨーク=松浦肇】米ニューヨーク中心部マンハッタンで29人が負傷する爆発事件を起こしたアハマド・カーン・ラハミ容疑者(28)は、その現場から列車でわずか30分ほどのニュージャージー州に住んでいた。動機は未解明だが、自宅周辺の人々の話などから、容疑者が複雑な生活環境に置かれていた事実が浮かび上がる。

 ニュージャージー州エリザベス。中心街には米政府の移民センターがあり、個人営業の商店が軒を連ねる。アフガニスタンから移住したラハミ容疑者の父親は、この町でフライドチキンの店を経営し、その2階に家族が住んでいた。

 「熱心で感じのいい人たち」。常連客だったというアントニオ・ガズマンさんとフリッツ・サンジャンさんが口をそろえる。

 ラハミ容疑者は自動車が好きな若者だったが、アフガンやパキスタンへの渡航後にひげを伸ばしはじめ、信心深くなったという。

 一家は近所との折り合いがよくなかったようだ。2011年にエリザベス市や警察、近隣住民などを相手取って訴訟を起こしている。店が深夜も営業し、警察や住民とトラブルになったのが原因だ。訴状には「(家族が)イスラム教徒だから標的にされ、近隣から苦情を受けた」とある。

 米中枢同時テロ以降、米国のイスラム教徒は肩身の狭い思いをしているケースが少なくない。エリザベスはカリブ海からの移民が多く、イスラム教国からの移民は“少数派”という特性もあった。

 タクシー運転手のリカルド・モラレスさんは、「溶け込みやすいようにイスラム教徒がヒスパニック系を自称する例が多い」と語る。地元社会での軋轢(あつれき)が、思想形成に影響した可能性もありそうだ。

 今回の事件は、過激化したイスラム系米国人による最近のテロとの共通項が多い。圧力鍋の爆弾は、国際テロ組織がネット上で仕組みを公開するなど、比較的容易に製造できるとされ、13年のボストン爆弾テロ事件でも利用された。今回、ニュージャージー州のマラソン会場を狙った点も、ボストンの事件と同様だ。

 フロリダ州オーランドで6月に起きた銃乱射事件では、性的少数者(LGBT)が集うナイトクラブが標的となった。一方、爆発で29人が負傷したマンハッタンのチェルシー地区は、LGBTが多く集まる。

 米カリフォルニア州サンバーナディーノで15年に起きた乱射事件では、主犯のパキスタン系米国人は、婚約者ビザで入国したパキスタン人妻に感化されたとの情報があった。

 一方、米メディアによると、ラハミ容疑者がパキスタンに渡航したのは、現地にいた妻を米国に呼び寄せる目的だったとされる。

最終更新:9月21日(水)8時12分

産経新聞