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郊外マンション、復活へ 首都圏マンション市場が新たな局面

産経新聞 9月21日(水)7時55分配信

 東京都心部の高額物件が好調を持続する一方、世田谷といった人気エリアで売れ行きが鈍るケースが出てきた。苦戦を強いられているはずの郊外部では予想以上の反響がある物件も。「平均値で語れるマーケットではなくなった」との声が上がるように、首都圏マンション市場は新たな局面を迎えつつある。

 全戸の販売価格が2億円を超える「プラウド六本木」(東京都港区)。35戸中、22戸で契約が決まった。野村不動産ホールディングスの山本成幸執行役員は「3億円までの物件はスピード感をもって売れている」と話す。住友不動産の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」(新宿区)は、目の前に赤坂御用地の緑が広がる立地環境が注目され、販売戸数に対し30倍を超える問い合わせがあった。希少性が高い場所の高額物件の引き合いは依然として根強い。

 しかし、不動産経済研究所(同)がまとめた8月の市場動向によると、首都圏全体の発売戸数に占める東京都区部の比率はリーマン・ショックの直後である平成20年10月以来の低水準。億ションが先導する市場にあおられる形で手が届きにくい価格帯を形成してきたのが要因だ。

 例えば世田谷区。大手不動産会社の担当者は「駅に近い物件は3・3平方メートル単価が400万円でも売れ行きは好調。しかし、駅から徒歩20分圏で本来の実力を大幅に上回る300万円以上に設定したような物件は、急速に売りにくくなっている」と指摘する。

 郊外は逆の意味で、潮目が変わりつつある。「ファインシティ東松戸モール&レジデンス」(千葉県松戸市)の販売センターでは休日ともなると販売スタッフが対応に追われ続ける。松戸市は子育てがしやすい自治体の代表格。徒歩2分の東松戸駅は3路線が乗り入れるなど交通の利便性が高く、最多価格帯は3400万円台と購入しやすい点が若いファミリー層の購買意欲をかきたてる。

 郊外物件は、建築費の高騰に伴って市場価格との乖離(かいり)が生じていたが、デベロッパーの見方は「適正価格の物件を投入すれば新築でも売れる」で一致する。

 こうした中、東京五輪関連の受注活動が一段落した結果、建築費が落ち着くとの見通しも強まってきた。建築費がさらに下がっていけば、「個性的で顧客を引きつけるプロジェクトが増え、郊外型が人気を取り戻していく」との見方も出ている。(伊藤俊祐)

最終更新:9月21日(水)9時15分

産経新聞