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焦点:日銀新スキーム、超長期の適正水準不透明 振れ拡大の思惑

ロイター 9月21日(水)19時48分配信

[東京 21日 ロイター] - 21日の円債市場で、10年最長期国債利回り(長期金利)<JP10YTN=JBTC>が半年ぶりのプラス圏に浮上した。日銀は、金融市場調節目標をこれまでのマネタリーベースからイールドカーブ(利回り曲線)に変更。金融政策の枠組みの大幅修正を決定したが、その実効性に対し、参加者の中には疑問を持つ声もある。

特に超長期ゾーンでは、日銀が適正と見る水準が不透明で、イールドカーブが振れやすくなるとの見通しが浮上している。

緩和強化ではなく、緩和後退ではないか──。国内金融機関の債券関係者は、日銀の政策枠組み修正について、こう感想を漏らす。

日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融緩和強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決定。長短金利操作で短期金利の操作対象となるマイナス金利幅は現行の0.1%を維持する一方、長期金利(10年国債金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う方針を示した。

黒田東彦総裁は会合後の会見で、新しい政策の枠組みはテーパリングではない、と強調した。

しかし、市場では長期金利のターゲット水準を現在の実勢を上回るゼロ%に設定したことで、事実上、金利上昇による金融引き締めの側面を意識する声が広がっている。

また、金融機関から批判の声が相次いでいるマイナス金利の深掘りを見送ったことで「マイナス金利政策の限界さえ、意識され始めている」(国内金融機関)という。

市場は、日銀の決定に敏感に反応した。長期金利は一時前日比6.5bp高い0.005%と3月11日以来のプラス圏に浮上。

マイナス金利深掘りをある程度織り込んでいた2年債利回り<JP2YTN=JBTC>も一時同4.5bp高いマイナス0.225%に上昇した。

9月に入り、黒田総裁、中曽宏副総裁と講演が相次いだだけに「日銀はもっと丁寧に市場とコミュニケーションを取るべきだった」(外資系証券の債券関係者)と、日銀への苦言も聞かれる。

さらに円債市場が不安視するのは、日銀が許容する10年超の金利形成が見えない点だ。

日銀は新たに、指定利回りによる国債買い入れ(指値オペ)の導入を決定。「指値オペのオファー額は場合によっては無制限とされており、これは金利の上昇を強力に抑制する手段となる」(みずほ証券・シニア債券ストラテジストの丹治倫敦氏)とみられている。

一方で、金利低下の場合には、買い入れ頻度などを調整するとみられている。いわば、10年超の金利形成は、日銀オペのさじ加減に大きく影響されることになる。

外資系証券関係者は「10年超の利回りは、短期的に日銀の許容レンジの上限と下限を試しにいくとみられ、上下に振れるだろう。過度にフラット化が進んだ場合、日銀からはしごを外される可能性があるため、プラス利回りを求める投資家は恐る恐る買いを入れざるを得ない。時間がかかるかもしれないが、日銀の買い入れをこなしながら、徐々にボラティリティーが低下していくのではないか」とみている。

(星裕康 編集:田巻一彦)

最終更新:9月22日(木)1時20分

ロイター