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富山市議政活費不正 辞職ドミノ、報酬上げ発端 地元紙が徹底追及

産経新聞 9月21日(水)14時56分配信

 富山市議会本会議で市議6人の辞職が許可されたことで、富山では約2カ月間で計11人(市議9人、県議2人)の議員が政務活動費の不正請求で辞職する異例の事態となった。さまざまな手口で繰り返されてきた不正。次々と明るみに出たきっかけは、議員自らの報酬引き上げだった。

 ◆自民会派が案主導

 富山市議会が月額60万円の議員報酬を来春から、中核市で全国最高レベルの70万円に引き上げる条例案を可決したのは6月。今回、政活費の不正発覚が相次いだ自民党会派が主導した。

 条例案の審議中、市議を取材していた地元の北日本新聞社の女性記者が、当時自民会派会長の中川勇氏に怒鳴られて押し倒されたとして、同社が富山県警に被害届を出す事態が発生した。

 報酬引き上げには市民の反発も強く、同社は地方議会取材班を結成。7月に県議会副議長だった矢後肇(やご・はじめ)氏の政活費不正を報じた。市議会にも飛び火し、中川氏の不正受給も発覚。8月に議員辞職に追い込まれると、その後両議会は「辞職ドミノ」の様相を呈した。

 ◆目立つ領収書改竄

 一連の不正の中で目立つのが、白紙の領収書に好きな金額を書き込む手口だ。

 中川氏は、付き合いのある印刷会社から白紙の領収書の束を受け取り、市政報告会の資料代などとして約694万円を不正請求。同僚議員に偽造領収書を渡していたことも判明した。

 別の自民市議は、パソコンで領収書を自作し茶菓子代を水増し請求。「1枚ずつ領収書を出すのが手間だった。悪いという自覚はなかった」という。市議会自民会派内の不正は約10年前には始まっていたとされ、判明した不正請求額は計1300万円を超える。

 約1940万円を組織ぐるみで不正請求していた市議会民進党系会派では、領収書に数字を加筆する手口が発覚。「2268円」の領収書に「2」を書き足し、2万2268円を請求するなどしていた。

 不正受給した政活費は、選挙資金のほか飲食やゴルフにも使われていた。

 ◆本選挙で復帰警戒

 辞職者が相次いだことを受け、市議会の自民会派内では一時、議会の自主解散による出直し選挙を模索する動きが出た。苦戦が予想される市議補選を避けたい考えからだ。

 だが、他会派では「解散によって問題追及が中途半端になる」との意見が根強く、断念。補選の実施が決まった。

 ただ、現職市議の任期満了は来年4月。補選後半年ほどで改選を迎える。市議会関係者は「次の本選挙には辞職した人も出馬し、議員に戻るのでは」と警戒感をあらわにしている。

 こうした声を牽制(けんせい)するかのように、自民会派は議員報酬引き上げを中止する方向で検討を始めた。一部野党は「中止で済む問題ではない」と、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)などで徹底追及する構えだ。

 今回の問題で一部議員を詐欺罪などで刑事告発した市民団体関係者は「不正が発覚していなければ同じことが続いていただろう。根は深い」と話した。

最終更新:9月21日(水)15時18分

産経新聞