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<ベルギーテロ半年>IS、欧州を標的に…帰還戦闘員が中核

毎日新聞 9月21日(水)20時17分配信

 【ブリュッセル八田浩輔、ロンドン矢野純一、パリ賀有勇、ベルリン中西啓介】32人が死亡したベルギー同時テロから22日で半年を迎える。犯行グループのネットワークの広がりが明らかになる一方、フランスやドイツでは過激派組織「イスラム国」(IS)に共鳴したテロが続発。捜査当局は欧州を標的としたISの戦略の変化を指摘している。

 3月のベルギー同時テロは、昨年11月のパリ同時多発テロと連動し、シリアなどで戦闘を経験したISの帰還戦闘員が中核にいた。ベルギーは欧州の中でもシリアなどに渡航する戦闘員が人口比で最も多く、捜査当局は帰還戦闘員の監視を強め断続的に家宅捜索などを繰り返している。6月にはサッカー欧州選手権の屋外観戦などを標的とした大規模なテロ計画を摘発した。

 一方、英警察当局の調べでテロ実行犯らの足場が英国内にもあったことが明らかになった。南部バーミンガムで4月中旬、26~59歳の男女5人がテロ関連容疑で逮捕され、英メディアはパリやベルギーのテロ実行犯と連絡を取っていた可能性を指摘している。

 パリ同時多発テロの首謀者で元IS戦闘員のアブデルハミド・アバウド容疑者の携帯電話にはバーミンガムのサッカー場などの写真が残され、ベルギー同時テロ実行犯の一人も昨年7月にバーミンガムを訪れていた。

 フランス、ドイツでもテロはやまず、未遂事件も相次ぐ。フランスでは7月に南部ニースのトラック暴走テロで86人が死亡。6、7月には警察官夫婦と神父が殺害された。容疑者らはシリアに渡航したフランス人IS戦闘員、ラシド・カシム容疑者(29)と連絡を取り合っていたことが判明した。またパリ中心部で9月4日未明、車に搭載したガスボンベを爆発させようとしたテロ未遂事件に絡んで逮捕された19~39歳の女3人もカシム容疑者と接点があった。

 仏検察のモラン検事は記者会見で、シリアで戦闘員に加わるよりも国内でテロを拡散するよう促すISの「戦術の変化」があると示唆。女性を実行部隊とする新たな傾向への危機感を募らせた。

 ドイツでは7月、南部バイエルン州で、難民の男による無差別襲撃事件や自爆事件が相次いだ。独政府によると、ISの戦闘員らが難民を装って入国したとの情報が約400件あり、60件以上を起訴した。

 北部シュレスウィヒ・ホルシュタイン州では9月13日、警察の特殊部隊がISの関係者とされる17~26歳のシリア人の男3人を逮捕。3人はシリア北部ラッカでIS幹部から、欧州入りしてテロ指令を待つよう指示されたという。

最終更新:9月21日(水)22時20分

毎日新聞