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<日銀>政権、緩和に過剰依存…アベノミクス、構造改革急務

毎日新聞 9月21日(水)22時13分配信

 日銀は21日、大規模な金融緩和策の「総括的な検証」を公表し、長期金利をコントロールする新たな政策目標の設定に踏み切ったが、物価上昇率2%の目標達成には時間がかかることも示した。日銀の政策変更の背景には、安倍政権の経済政策、アベノミクスの金融緩和への過剰な依存がある。デフレ脱却に向けて構造改革を進められるのか、安倍政権の対応も問われている。

 「成長率を高める構造改革を引き続きしっかりやっていただきたい」。黒田東彦・日銀総裁は、決定会合終了後の記者会見で、持続的な経済成長に向けた政府の取り組み強化を改めて要望した。

 2012年12月末の第2次安倍政権発足後、日銀の大規模緩和を背景に金融市場で円安・株高が進行。景気対策を盛り込んだ大型の財政出動の効果もあり企業収益は改善し、大企業を中心に賃上げの動きも広がった。

 アベノミクスは元々、金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」のうち、最初の2本の矢で景気を下支えする間に成長戦略で経済を底上げすることを目指していた。政府も法人税減税や農業改革、雇用改革などを盛り込んだ成長戦略を策定し、企業の投資拡大や競争力強化を後押しする姿勢を示してきた。

 だが14年4月の消費税増税後に個人消費の低迷が長期化したこともあり、企業の設備投資は力強さを欠いたまま。日本経済の実力を示す潜在成長率は0%台前半に低迷し続けており、成長戦略の効果は具体化していない。

 企業の生産性向上を目指し、働いた時間ではなく、成果に応じて賃金を決める「脱時間給」を盛り込んだ労働基準法改正案は、「残業代ゼロ法案」との野党の批判が根強く、国会審議がストップ。成長戦略の柱の一つである環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は米国内で慎重論が強まるなど、今後の実現を危ぶむ声が出ている。

 政府は12日、成長戦略に関連する経済政策会議を一本化して「未来投資会議」を新設。安倍晋三首相は会合で「構造改革を総ざらいし、必要な検討に着手してほしい」と述べ、成長戦略を加速させる考えを示した。子育てや介護支援などで「1億総活躍社会」の実現に向けた取り組みも加速し、消費喚起につなげる考えだ。

 ただ、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現は、企業や正社員からの反発が予想され、実現は容易ではない。円安効果が薄れ、市場では「金融政策頼みのアベノミクスは限界」(国内証券エコノミスト)との見方が広がる中、改革実現に向けて残された時間は少ない。【小倉祥徳】

最終更新:9月21日(水)22時13分

毎日新聞