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<もんじゅ>「高速炉」に看板掛け替え

毎日新聞 9月21日(水)23時33分配信

 ◇政府、抜本的な見直し 日仏共同研究見通せず

 廃炉を含め高速増殖原型炉「もんじゅ」の抜本的な見直しを決めた政府は21日の原子力関係閣僚会議で、今後も「高速炉」の研究開発を進めることを確認した。一方、もんじゅがある福井県敦賀市では、廃炉は地元経済に大打撃だと、怒りの声が上がっている。

 世耕弘成・経済産業相は会議後、記者団に「高速炉開発の方針は堅持する」と述べた。一般の原発は冷却に水を使うが、高速炉は液体ナトリウムを使う。核分裂で生じる中性子は水の中ではスピードが落ちるが、ナトリウムでは落ちない。「高速」とはこの意味だ。

 高速中性子があれば、原発では燃えず燃料にできないウラン238を、利用可能なプルトニウム239に変えることができる。このため、ウラン資源の節約に役立つとして、原子力開発の初期には原子力発電の「本命」と位置づけられた。だが冷却材に使用する液体ナトリウムは空気に触れると発火するため取り扱いが難しく、世界でも実用化された例はまだない。

 経産省はもんじゅが廃炉になってもフランスが2030年ごろの運転開始を目指す高速炉「ASTRID(アストリッド)」計画に参加し、研究を進められるとしている。だが、不確定要素が多く、前途は多難だ。ASTRIDは基本設計が完了する予定の19年までしか予算措置されていないうえ、その後は資金難で建設自体が見直される恐れもある。

 また、ASTRIDでの共同研究を担当する日本原子力研究開発機構の佐賀山豊・特任参与は「もんじゅが廃炉になれば、日仏の研究協力にも影響は出る」と指摘、研究内容を見直す必要が生じることを示唆する。仏原子力・代替エネルギー庁と同機構などは14年の技術協力の合意事項に、仏側の要請でもんじゅを使ってのASTRIDで使う新型燃料の燃焼テスト実施を盛り込んでいるからだ。

 一方、政府は「高速増殖炉」から「増殖」の文字を消したが、その技術を捨てたわけではない。

 増殖されるのは燃料となるプルトニウムだ。核兵器への転用も可能で、海外には軍事利用への懸念が根強い。日本は国内外に47.9トン(15年末現在)を保有しているが、今後確実に消費していくメドも立っていない。これ以上たまれば国際関係にあつれきを生む可能性もあり、政府は「増殖」の看板を14年のエネルギー基本計画で取り下げた。その代わり、原発から出た放射性廃棄物の量を少なくできるという高速炉の特性を前面に打ち出している。

 だが、高速増殖炉と高速炉は炉がほぼ同じで、異なるのは燃料の種類や配置だけ。それを入れ替えれば「高速増殖炉」にも「高速炉」にもなる。資源に乏しい日本には将来のウラン燃料の枯渇に備え、増殖の余地を残したいとの思惑があり、「看板を掛け替えているだけ」との指摘もある。【岡田英】

 ◇原子力関係閣僚会議の決定事項(骨子)

・核燃料サイクルを推進し、高速炉の研究開発に取り組む方針を堅持

・新たに「高速炉開発会議」を設置し、年内に今後の開発方針を決定

・「もんじゅ」は廃炉を含め抜本的な見直しを行い、年内に取り扱いに関する政府方針を決定

最終更新:9月21日(水)23時33分

毎日新聞

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