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【相模原殺傷事件】措置入院させた判断は標準的 厚労省の検討チームが中間まとめ

福祉新聞 9月21日(水)10時34分配信

 神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で起きた殺傷事件をめぐる厚生労働省の再発防止検討チーム(座長=山本輝之・成城大教授)は14日、中間報告をまとめた。事件前、植松聖容疑者を措置入院させた相模原市の判断は「標準的」だとしたが、容疑者がどのような精神障害だったかは明確にしなかった。一方、入院中の対応は不十分だと判断。患者が入院中から措置解除後まで継続した支援を受けられるよう、法改正も視野に入れた制度的な対応が必要だとした。

 ■福祉施設は防犯点検

 再発防止の具体策は今秋にまとめる。法改正が必要となれば、障害者団体などの代表者も入った審議会で議論して詳細を詰める。福祉施設の防犯対策は、日常的な対応と犯行予告があった場合の緊急時の対応に分けて、厚労省が具体的な点検項目を早急に示す。

 中間報告は、容疑者を精神障害者だと認識し措置入院を命じた相模原市の対応は標準的だとした。一方、容疑者の入院先である北里大東病院(同市)については「容疑者を麻薬中毒とは判断せず、薬物の再使用を防ぐための治療プログラムを検討することもなかった」と批判した。

 ■躁うつ病の可能性

 この点に加え、同院が「大麻による精神および行動の障害」以外の精神障害(躁うつ病など)の可能性を考えて生活歴を把握したり心理検査をしたりしなかった点も不十分だとした。一般的に、大麻の吸引だけで他害を公言することは考えにくいことも補足した。

 ただし中間報告は、容疑者が大麻による障害だったのか他の精神障害があったのかは結論づけていない。その判断は保留しつつ、いずれであっても同院の対応が不十分だったことを強調した。

 措置解除した同市の対応については、「容疑者の退院後の継続的な医療などの支援内容も検討されなかった。単に措置解除だけが行われてしまった」とし、不十分だったとの見解を示した。

 ■新事実乏しく論評

 この事件をめぐっては、そもそも容疑者が精神障害者なのか、措置入院させたことが妥当だったのか疑問視する声があるが、中間報告はそうした疑問を退けた。しかし、その根拠となるような新しい事実は乏しく、論評にとどまっている。

 例えば、2月19日の緊急措置入院時の「躁病」という診断については、容疑者が犯行予告を書いた手紙に言及し、「本人の思想信条の範ちゅうとも捉え得るが、誇大的かつ論理が飛躍した考えと捉えることも可能」との見方を示した。

 その上で「この指定医は、気分の変動に伴って実際に人を殺す可能性が高まり得ると考え、精神障害による他害のおそれがあると判断した」とし、その判断を追認した。

 ■孤立防ぎ再発防止

 こうした前提に立ち、中間報告は「入院中から措置解除後まで患者が医療や生活面での支援を継続的に受け、地域で孤立することなく生活することが今回のような事件の再発防止につながる」とした。

 その実現に向け、保健所の人員を強化するなど必要な予算措置を図った上で、「保健所のある自治体が措置権のある都道府県・政令市から支援プロセスを確実に引き継ぎ、支援を調整する仕組み」を制度的に担保する方向性を打ち出した。

 事件は7月26日未明に発生。元職員、植松容疑者が入所者を刃物で刺し、19人が死亡、職員を含む27人が負傷した。安倍晋三首相は同28日、厚労省を中心に再発防止策を検討するよう指示した。

 精神科医らを委員とした厚労省の検討チームは8月10日に初会合(非公開)を開催。容疑者の両親らに聞き取るなどして事実関係を検証し、月内に中間報告をまとめる予定だったが、委員間で見方が一致せず延びていた。

最終更新:9月21日(水)10時34分

福祉新聞

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