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石破氏の自民党「プランB」とは?

ニュースソクラ 9月21日(水)14時0分配信

「後は野となれノミクス」へのアンチテーゼ

 安倍晋三首相のカムバックに道を開いた2012年9月の自民党総裁選挙は、薄氷の勝利だった。第1回投票で地方票を集めた石破茂氏に水をあけられ、国会議員だけの決選投票で、ひっくり返した。

 そのライバル石破氏が腹を固めた。8月の内閣改造で閣外に出ると、作年9月に旗揚げした自派閥(水月会)の初の夏期研修会を4日に開き、2年後に想定される総裁選に向けた政権構想づくりを始めるという。

 安倍“1強”政権は支持率も高く、党内から18年9月に切れる総裁任期延長の声が上がる一方、看板のアベノミクスが行き詰まるタイミングでの決断だ。

 55年体制下の自民党長期政権の秘訣を、政策で色合いが違う派閥(連合)間の疑似政権交代に求める見方がある。安保騒動で倒れた岸信介政権の後を襲った池田勇人政権は「所得倍増論」で国民の関心を経済に移した。金脈問題で田中角栄首相が転ぶと、「クリーン三木(武夫)」につなげた。

 政権が失敗した時の“プランB”を用意しておくことこそ、自民党非主流派の役割なのだ。では、石破氏の「プランB」とは。氏の言動から探ってみよう。
 
 直近の日本経済新聞のインタビューから拾った。
 「この国は人口や財政を持続可能にしなければいけない」「現状の金融緩和も財政出動も持続可能ではない」「出生率が最低の東京に企業や人口の集積が進む日本は持続可能ではない」。

 もう、おわかりであろう。アベノミクス批判と、繰り返す「持続可能」のキーワード。安倍首相が消費増税再延期を発表した後の本コラムで、筆者は「後は野となれノミクス」と呼んだ。「持続可能性」こそ、「後は野となれ」のアンチテーゼだ。

 物価は横ばいで日銀目標の2%上昇とかけ離れ、成長率も微増に止まる一方、失業率など雇用指標だけが20年来の好調で場所により人手不足も。この状況が求めるのは、潜在成長率の天井を押し上げる構造改革のはずだが、政権は「アベノミクスを噴かす」と言う。

 1000兆円を超す政府債務を尻目に、建設国債も増発して事業規模28兆円の経済対策を打つ。黒田東彦日銀総裁は「まだ緩和の余地がある」と言う。追加策をねだる市場ともども“政策中毒”批判は免れまい。

 代表的なマクロ経済学者、吉川洋東洋大教授は、消費増税再延期を間違いと断じた。岩本康志東大教授は、28兆円対策を「現実には存在しない危機への対策を講じるという不自然な状態」(日経、経済教室)と言う。

 小林喜光経済同友会代表幹事は、同じ対策を「財政健全化といかに両立させていくかについて、国民に対してより丁寧に説明することを将来世代に対する責任として求めたい」「単に財政規模を追求するのではなく、持続的成長の基盤を強化するため、規制改革のより一層の推進や産業の新陳代謝の加速など、諸改革の断行にも期待する」とコメントし遠回しに批判した。

 経済界や学界の真っ当な懸念と、石破氏のプランBは大きく重なる。次の政権の政策になるだろうか。

■土谷 英夫(ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1948年和歌山市生まれ。上智大学経済学部卒業。日本経済新聞社で編集委員、論説委員、論説副主幹、コラムニストなどを歴任。
著書に『1971年 市場化とネット化の紀元』(2014年/NTT出版)

最終更新:9月21日(水)14時0分

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