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クックCEOは、日本のApple Pay戦略に “個人情報を収集しない価値” を優先した

日刊工業新聞電子版 9/21(水) 14:29配信

黒船 “Apple Pay” 上陸

 米アップルはスマートフォン「iPhone 7」の日本モデルの目玉として、10月中に決済サービス「アップルペイ」を始める。ここで改めて注目されるのが、個人情報の扱いだ。

 日本の電子マネーは交通系の「スイカ」や流通系の「nanaco」「WAON」、クレジットカード会社が発行する「クイックペイ」「iD」など、いずれもソニーの非接触技術「フェリカ」を採用している。各種の電子マネーの共用端末がコンビニエンスストアなどで普及。ポイントカード等でもフェリカが少なくない。

 これまでスマホではグーグル仕様のアンドロイド携帯のみがフェリカ対応だった。アイフォーンも日本国内モデルに限って対応を決めた。一方でアイフォーンならではの工夫もある。例えば登録作業が簡単なこと。スマホのカメラでクレジットカードやデビットカードの券面を撮影するだけで登録できる。

 もう一つ、注目されるのは個人情報の扱いである。アップルペイはスマホ利用による購買履歴を、アップルも小売店も一切保存しない仕組みだとティム・クック最高経営責任者(CEO)が明言している。

 個人の商品購買履歴はビッグデータ分析の格好の材料だ。履歴や所在地情報をトレース(追跡管理)すれば、好みの商品やイベント紹介などきめ細かなサービス提案ができる。ただ、こうした履歴の利用を個人客が明示的に了解していない場合、勝手にトレースすることは個人情報保護の面で問題がある。

 ビッグデータ利用が進むと、逆に「個人情報を収集しない」ことが価値となる可能性がある。アップルペイはその先駆けとして注目される。NECと三井住友銀行の合弁会社が2017年2月から始める「コンビニ収納サービス」も、個人情報を収集しないことで利用者に安心感を提供する。

 個人情報を守りつつ、利便性を高めてほしいというのが多くの利用者のニーズだ。事業者が、それにどう応じるかが問われている。

最終更新:9/21(水) 14:46

日刊工業新聞電子版