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佐藤和哉「牛若丸みたいに笛一本で届けたい」篠笛で表現する音楽と心/インタビュー

MusicVoice 9/21(水) 12:10配信

 フォークデュオ・ゆずが歌う、NHK連続ドラマ小説『ごちそうさん』の主題歌「雨のち晴レルヤ」。この楽曲の後ろで奏でられていたのは、篠笛奏者・佐藤和哉が吹く“篠笛”という楽器。実は「雨のち晴レルヤ」のモチーフになったのが、佐藤が作曲した「さくら色のワルツ」である。佐藤は、2013年のNHK紅白歌合戦でゆずとともに「雨のち晴レルヤ」を演奏し、同曲は2014年に日本レコード大賞で優秀作品賞を受賞した。J-POP界に彗星のごとく現れた佐藤だが、2012年の6月には国宝・薬師寺東塔解体式典「宝珠降臨法要」で献笛を務め、今年、佐賀県嬉野市の曲「ふるさとの空よ」を制作するなど、伝統文化の後継者としてもその確かな地位を確立している。その佐藤が、9月21日にアルバム『フエウタイ』でメジャーデビューを果たす。彼に、まだ未知なる楽器“篠笛”について、そして『フエウタイ』に込めた想いについて話を聞いた。

篠笛との出会い

――「篠笛」は一般的に触れる機会が少ない楽器かと思われますが、この楽器との出会いは?

 一般的な篠笛のイメージというのは、お祭りで使われていたり日本の伝統芸能の日舞であったり歌舞伎だったり、そういった中で聴かれる事が多い楽器ですね。逆にそういう場でないとあまり聴かれない楽器だと思います。僕と笛との出会いは地元のお祭りなんです。「唐津くんち」というお祭りが小さい頃から大好きでして。中学生くらいの頃からそのお祭りのお囃子で笛を吹くようになりました。

 そのころの僕にとっては、一般的な感覚と同じように「笛といえばお祭りで吹く物、お祭りだけで使う楽器」という風に思っていたんです。小学校くらいの頃からピアノをやっていて、中学校の頃からドラムをやって、どんどん音楽にのめり込んでいったんです。高校生の頃からはギターを弾きながら歌を歌うようになって、シンガーソングライターをいつしか夢見るようになりました。それと篠笛は別に考えていたんです。

 でも、人に喜んでもらえる音楽を作詞・作曲したいと思うようになり、「人に喜んでもらえる音楽ってどういうのだろうな? 自分が表現したい音楽ってどんなのだろうな?」という事で音楽の方向性を模索していたんです。そうした中で、昔、自分がやっていたお囃子の笛に改めて目を向けて「自分がこの楽器で音楽を表現するとしたらどうなるんだろうな?」と思ったんです。その時は色んな方向性を考えていたんです。

 その時、“牛若丸”だったり“光源氏”だったり、笛一本で自分の心を歌っている日本人の昔の姿がパッと思い浮かんだんです。あんな風に笛で自分の心を歌うとすると、どういう世界観になるのかという事で、自分でもやってみたんです。そうしたら、自分の声で歌うよりも、何か自分のメッセージをより人に届きやすい形で音楽を表現が出来る可能性を感じたんです。

 どこか懐かしくて情緒深い音色に、自分の伝えたいメッセージを込めて曲にして表現したり、自分の知っている童謡唱歌だったりとか、そういったものを歌うとした場合に「自分の血が燃える」「心の底から歌っている」など、そういった気持ちになれたんです。それでこれは面白いと思いまして、自分で歌うよりも笛で歌っていく事を追求していって「新しくて、人に喜ばれる音楽が出来るかもしれない」と思ったんです。それまでやってきた洋楽器を全部やめて和楽器の道を選び、篠笛を学ぶようになりました。

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最終更新:9/21(水) 12:10

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